(2021.06.10)
自然災害や紛争などの緊急事態は、人々の生活を一変させます。とくに子どもたちはその影響を大きく受け、紛争や自然災害の影響を受けた国では、3人に1人の子どもや若者が学校に通うことができていません。しかし、緊急下においても、子どもたちが教育を受けることはとても重要だと考えられています。安全で安心して学べる場所で教育を受けられることは、拉致、虐待、搾取、武装勢力への徴用等の様々なリスクから子どもたちを守ると同時に、日常を取り戻すきっかけとなります。また、将来の雇用の機会の拡大にも繋がり、とくに紛争下の教育は、復興後の国づくりを担う子どもたちの育成に重要な役割を果たします。
緊急下における教育支援は、食料、水、シェルターなど他の分野の支援に比べると後回しにされがちです。ワールド・ビジョンではその重要性を認識し、困難な状況におかれている子どもへの支援の一つとして様々な国で行ってきました。
ワールド・ビジョン・ジャパンが副代表をつとめ、また、運営に携わる「教育協力NGOネットワーク(JNNE)」では、緊急下における教育支援の取り組みを通じて得られた知見や経験を関係者間で共有し、より良い支援を届けるために、2016年より「緊急下の教育(Education in Emergency: EiE)勉強会」を開催してきました。
4月27日(火)には、「教育を後回しにはできない (Education Cannot Wait:ECW)基金」より、ファンディング・マネージャーの大島義幸氏を迎え、66名の政府機関、国際機関、学校関係者、民間企業、NGO等幅広いアクターからの参加者とともに第11回目のEiE勉強会をオンラインで開催しました。
世界初の緊急下の教育支援に特化した多国間援助機関であるECWは、緊急事態や長期化する危機下で影響を受けている子どもや若者へ教育の機会を提供するために、2016年にイスタンブールにて開催された「世界人道サミット」において設立されました。
大島氏からは、緊急下の教育支援の重要性や教育分野を通じた緊急・人道支援と開発支援の橋渡しを行う「ファンデング・メカニズム」としてのECWの活動、緊急下の教育援助の重要性やNGOとの連携方法について紹介いただきました。
勉強会の後半では、ECWの資金を活用してワールド・ビジョンが南スーダンで実施している教育支援事業について、ワールド・ビジョン・ジャパンの大川スタッフより報告しました。事業地の治安や新型コロナウイルス感染症の影響により現場に行くことができない中で、遠隔での事業管理の困難や現地スタッフとのコミュニケーションの重要性について紹介しました。
ワールド・ビジョン・ジャパンは、SDGs(持続可能な開発目標)のゴール4「質の高い教育をみんなに」を2030年までに達成するため(教育目標)を達成するため「SDG4教育キャンペーン」にも取り組みました。
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