(2022.03.18)
【概要】
ワールド・ビジョンは、ルーマニアのフシ、ヤシ、シレットの国境地域に設置した3施設に加えて、同地域に新たに15のCFSを開設する予定です。これらの施設は、故郷を追われた子どもたちを安全に迎え入れる場所となります。
ワールド・ビジョンは、ウクライナでの紛争が始まって以来、緊急に必要な食料や病院の備品をウクライナ国内で配布するとともに、ルーマニア国内でウクライナからの国境を越えて避難してきた人々を支援するなど、積極的に対応しています。
ワールド・ビジョン・ルーマニア事務局長、ミハエラ・ナバーは、CFSは遊び場だけではなく、子どもたちが日常生活の一部を再び経験するための場所でもあると述べます。
「現在、1秒に1人の割合で、ウクライナの故郷を離れ、近隣諸国に庇護を求めることを余儀なくされている子どもたちがいます。中には、凍てつく寒さの中、仮設住宅から別の仮説住宅へと何日も移動している子どもたちもいます。洋服やおもちゃ、もしかしたらペットさえも置き去りにして快適なわが家から逃げ出さざるを得なかった子どもも少なくありません。彼らの生活は、一瞬にして変わってしまいました。慣れ親しんだ生活を必要とする子どもたちにとって、これは深い痛みです」
ミハエラは続けます。
「ワールド・ビジョンの調査によると、紛争は子どもたちに深刻かつ長期的な影響をおよぼします。ウクライナから避難を余儀なくされた子どもたちにとって、日常を取り戻し、楽しみにできることや慣れ親しんだものをもつことが極めて重要です。そして、それこそがCFSが提供できることの一部なのです」
国連の推計によると、ウクライナから逃れた難民は3月15日時点で300万人を超え、半数以上が子どもだと言われています。その数は増え続けており、3月15日には、ルーマニアへ避難するウクライナ人が前日比で10%増加しました。
ミハエラは、ルーマニアに到着した子どもたちの多くは、紛争やそれ以上の事態を目撃し、家やコミュニティが被害を受けたり破壊されたりするのを目の当たりにしてきたと述べます。
「多くの子どもたちが、紛争が始まった時に知っていたものをすべて失ってしまったのです。私たちがやりたいことは、彼らが紛争によるトラウマ体験や、家や地域社会、友人、学校から引き離されたストレスに対処できるよう手助けすることです。
この危機が子どもたちにもたらしているものは、想像を絶するものです。子どもたちは本当の恐怖を体験しているので、長期的に影響が出るはずです。ですから、安全だと感じることは非常に重要です。安全であれば、子どもたちは冒険し、夢を見ることができます」
CFSのテントと器材は、ドイツから月曜日にルーマニアに到着した後、難民や国内避難民が断続的に流入している施設に送られます。CFSは、学校教育が中断された子どもたちの教育に代わるものではありませんが、ある程度の正常さと刺激を回復するための一時的な処置にはなり得ます。
「長期的には、ワールド・ビジョンは、子どもたちを社会に統合し、通常の教育に戻すことを目指しています」とミハエラは語ります。
30年以上にわたりルーマニアで活動してきたワールド・ビジョンは、紛争直後からウクライナ危機に対応しています。国境付近では、水、食料、衛生キット、子どもの遊び場、休憩所用の暖房器具等を提供してきました。現在、ルーマニアだけでなく、ウクライナ国内やモルドバにも活動を広げています。
「子ども支援のNGOとして、この紛争の影響を受けた子どもたちの心身の健康は、ワールド・ビジョンの最優先課題です。初期の段階で子どもたちがどのように扱われ、ケアされるかは、この危機的状況への対処に長期的な影響をおよぼします。短期的にも長期的にも、この紛争がもたらすトラウマ的な影響に対処するため、子どもたちはあらゆるサポートを受けることが不可欠であり、心のケアが優先されます」
ワールド・ビジョン・ジャパンでは、ウクライナにおける紛争の長期化やニーズの増大を受け、より多くの子どもたちや人々に支援を届けるため、「ウクライナ危機緊急支援募金」を受け付けています。皆さまのご協力をよろしくお願いいたします。
キリスト教精神に基づき、貧困、紛争、災害等により困難な状況で生きる子どもたちのために活動する国際NGO。国連経済社会理事会に公認・登録され、約100カ国で活動しています。詳細はこちら
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