東日本大震災第45報:発生から3カ月~日常生活を取り戻すために~

2011.06.10

東日本大震災から3カ月。国際NGOワールド・ビジョン・ジャパンは、震災発生2日後にはスタッフを被災地に派遣し、直ちに緊急支援を開始。これまでに宮城県と岩手県で89,200人以上に支援を届けています

日常生活を取り戻すために

ワールド・ビジョンが支援したスクールバスで避難所から通学する子どもたち

日常を取り戻すこと。
これが、大震災を経験し心が揺れ動いている子どもたちにとって
今、一番大切なことです。


毎日、学校に行くこと。
避難所を出て「家」に住み始めること。
ワールド・ビジョン・ジャパンでは、こうした、「当たり前」を取り戻すために、
子どもたちの通学支援仮設住宅入居者への支援に力を注いでいます。

子どもたちの通学支援

学用品を受け取って笑顔を見せる女の子

① 学校再開支援(宮城県気仙沼市、南三陸町、登米市)
被災地では、津波によって校舎が流失してしまった学校、校庭と校舎が瓦礫やヘドロで埋まってしまった学校や、避難所として使われている学校が多数あり、新学期の開始は大幅に遅れました。
ワールド・ビジョン・ジャパンでは、子どもたちが待ちに待った新学期を順調に迎え、学習を再開できるよう、学用品セットや、体操着、運動靴、副教材、学校備品、親子便座を使用した仮設トイレ、プレハブ校舎などを支援しました。また登米市では、校舎が全壊したために、もともとの場所から車で片道1時間かかる別の学校を利用した仮校舎に通学しなければならず、しかも、複数の避難所に散らばっている子どもたちを送迎する必要から、スクールバス支援も行っています。

給食を食べる子どもたち

おかず給食支援(宮城県南三陸町)
津波によって給食センターが流失してしまった南三陸町では、パンと牛乳、デザートのみの「簡易給食」にせざるを得ず、子どもたちの栄養不足が懸念されていました。そこでワールド・ビジョン・ジャパンでは、宮城県と南三陸町教育委員会から要請を受け、
6月より同町内のすべての小・中学校におかず給食を支援しています。

支援にあたっては、同町給食センターの方々が全面的にご協力くださり、アレルギーを持つ子どもたちにも配慮したメニューを決定することができました。
震災後に入学した小学校1年生の子どもたちは、以前の給食を知りません。そのため、届いたおかずを見て歓声をあげたり、「給食は牛乳とパンだけだと思ってたけど、ご飯もおかずもあるんだ!」と、驚いている子どもたちもいました。

スタッフと遊ぶ子どもたち

子どもたちの心のケア(宮城県南三陸町、登米市)
子どもたちが元気に学校に通うためには心のケアも重要です。
ワールド・ビジョン・ジャパンでは、安心して遊び、話ができるチャイルド・フレンドリー・スペース(CFS)の活動を、震災後間もない3月末から行っています。
これまでに、6カ所でのべ241名の子どもたちが参加しました。

特に登米市のCFSでは、子どもたちが通う学校の先生方とも情報交換をしながら、震災によって過酷な経験をし、また現在も制限の多い避難生活を送る子どもたちの心や、体調に変化がないか、見守っています。

仮設住宅入居者への、生活物資支援

支援している生活物資(一部)

仮設住宅に入居する方々が、円滑に新しい生活をスタートできるよう、岩手県・宮城県(宮城県気仙沼市、南三陸町、岩手県宮古市、久慈市、大槌町など)の計15,100世帯に、100品目以上の生活物資を支援しています。

行政機関の方からは、「(入居者は)家の家財道具をすべて流され、着の身着のままで逃げていらっしゃる方がほとんどです。そのため、仮設住宅に入った時に、ワールド・ビジョン・ジャパンさんからいただいた物で、すぐに生活が始められ、皆さんすごく助かっています」という声をいただいています。

緊急から復興へ~中・長期的な視野に立った支援を届けていきます~

ワールド・ビジョン・ジャパンでは、震災発生からの3カ月間を緊急期と位置づけ、被災直後に必要とされる支援を、迅速に、機動的に届けることに主眼を置いて活動してきました。7月以降は、被災した方々が、本格的な復興に向けて踏み出す一歩を支えられるよう、現在実施中のニーズ調査に基づき、より中・長期的な視野に立った支援活動を行っていきます。

震災発生後3カ月間の活動地域


子ども保護の観点から事業地への訪問はご遠慮いただいております。
現地での活動ボランティアにつきましては、現在募集しておりません。