【故郷を追われた子どもたちや人々】希望の種をまく難民・国内避難民支援
シリア:平和な国を知らない子どもたち。避難生活に追い打ちをかける大地震

(2023.06.05)

シリアって、どんな国?

2011年にシリア危機が発生してから12年以上経ても、解決のない状況が続くシリア。

現在、680万人がシリア国内での避難生活を余儀なくされ、536万人が難民としてシリア国外に逃れています。空爆等の戦闘により国内は荒廃し、「今世紀最悪の人道危機」と言われる状況が今もなお続く中、多くの人々が危機的な状況下で大規模な戦闘によって荒廃した環境での生活を余儀なくされています。

紛争下の過酷な状況にさらに追い打ちをかけるように、2023年2月にトルコ・シリア大地震が起きました。この地震によるシリア側の死者は6千人以上、子どもの被災者は約370万人に上るといわれています。

シリアの位置

子どもたちはどんな問題に直面しているの?

シリアの子どもの多くは、12年にもおよぶ紛争によって平和を知らずに育ちました。

現在シリアにいる子ども640万人のうち、200万人以上が学校に通うことができず、そのうちの4割は児童婚の危機にさらされている女の子です。彼女たちの多くは様々な暴力や苦しみに耐えたり、その様子を目撃せざるを得ませんでした。

世界的な新型コロナウイルス感染症や、シリアにおけるコレラの大流行に加えて、医療施設・学校・国内避難民キャンプへの攻撃によってシリアの子どもたちの健やかな健康と学びが打ち砕かれました。

子どもたちは、破壊を免れた銃撃戦の跡が生々しく残る校舎で学んでいます。教員、教室の不足も著しく、多くは学習の遅れを取り戻せていません。また、長引く紛争による精神的不安、ストレス、家庭の経済状態が理由で中退する子どもも後を絶ちません。
過酷な状況が続く中、さらなる大地震により多くの人々が家を失い、公共インフラなどにも甚大な被害が出ています。人道支援がなければ日々の暮らしを維持できない状況で、子どもたちは今も悲惨な状況に置かれ続けています。



シリアでこんな支援を行っています

ワールド・ビジョンは、シリア北西部の国内避難民や受け入れコミュニティに対し、以下のような①水衛生、②教育、③栄養に関する事業を行っています。
  • ①水衛生:生きていく上で不可欠な安全な水の供給、石けん等の衛生用品配布、ゴミ収集、トイレの整備、汲み取り等の水衛生に関わるサービスの提供、また新型コロナウイルス感染症、コレラ等の感染予防の活動
  • ②教育:主に紛争で損傷した公立学校の修複・教育用備品や学校用家具の提供
  • ③栄養:貧栄養不良に陥った5歳未満の子どもや妊産婦の回復を支える支援

これらの事業に加え、2月に発生した大地震への緊急・復興支援として、食料、生活必需品および暖房・調理用の燃料配布等を行いました。


事業地の避難民キャンプ


支援事業担当スタッフから

支援事業部 緊急人道支援課 ヨルダン駐在

プログラム・コーディネーター 渡邉 裕子

「私は現在シリア国内の事業を担当していますが、治安の関係上、渡航制限があり、シリア国内に入ることができません。そしてシリア国内にいるシリア人の同僚は、国外に出ることが難しいため、実際には一度も会ったことがありません。日々の業務はメールやオンラインでのチャット等で行っています。働き者の同僚たちを見ていると、彼ら自身が避難民であり、紛争の影響を受けながら暮らしているということを忘れてしまいそうになります。紛争地で暮らし、自分や家族を守ることで大変なストレスを受けているはずの彼らがせめて事業のことでストレスを抱えないよう、事業に関する質問が来たら遅い時間であってもなるべくその日のうちに回答したいと心がけています」

6月15日、ワールド・ビジョンの難民・国内避難民支援についてのオンライン報告会を開催します!

6月20日は世界難民の日。シリア、南スーダン等、長引く紛争の影響下で暮らす子どもたちは、遊びや学びの機会を失い、様々な経験を通じて成長していくはずの【子ども時代】がないままに、大人になろうとしています。

紛争に加え、自然災害や大地震の発生等、状況が刻々と変わる人道支援の最前線で、子どもたちの命を守り未来を築くために、今何が行われているのかを、緊急人道支援課のスタッフからご報告します。

日時:2023年6月15日(木) 19:00~20:00
内容:ワールド・ビジョンが実施する難民・避難民支援について、事業担当スタッフとの対談形式でご報告します。皆さまからのQAタイムも予定しています。
場所:Zoomによるオンライン開催
参加費:無料(通信にかかる費用はご負担ください)
定員:500名

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