(2020.09.01)(2025.3.13更新)
イラク共和国(以下、イラク)の基礎データ
首都:バグダッド
言語:アラビア語、クルド語(共に公用語)等
民族:アラブ人、クルド人、トルクメン人、アッシリア人等
宗教:イスラム教(スンニ派、シーア派)、キリスト教等
面積:約43.83万平方キロメートル(日本の約1.2倍)
人口:約3,965万人(2021年:CIA)
中東に位置し、イランやクウェート、サウジアラビア、ヨルダン、シリア、トルコと国境を接しています。1980年以降の戦争や内乱、さらには国際社会からのフセイン政権への経済制裁などにより、社会や経済が打撃を受けました。
2003年のイラク戦争から経済・治安面で回復基調にあったところ、2014年から約3年間に渡り武装勢力に占拠され、イラク軍による奪還作戦の際に激しい紛争が起き、家屋・インフラ・公共施設が破壊され、公共サービスが停止しました。現在、イラクはこの紛争のダメージから回復し、国を再建しようと奮闘しています。しかしながら、政情不安と長引く国内避難、公共サービスや住居の不足などが依然として続いています。
イラク軍と武装勢力との大規模な武力衝突により、一時約610万人*の避難民を出したイラクでは、学校施設の破壊、教員の不足、通学路に残る地雷などにより、子どもたちが安心して通学できる環境が整っていません。公的な書類の不所持、家庭の経済的困窮や教育への関心の欠如などにより学校に通えない子どもが多くいます。子どもの基礎学力の低下や退学、留年も大きな問題となっています。
子どもを守る役割を担うコミュニティは崩壊し、子どもたちは虐待や貧困、児童労働のリスクにさらされています。また、紛争を経験したことによる心の傷や不安を抱えたり、貧困やそれに起因する家庭内暴力による心理的ストレスにさらされたりしている子どももいます。
・ 国内避難民の数:約120万人(2023年時点)*1
・ 子どもが定期的に学校に通学することができない家庭:約3割*2
・ 基礎的な医療サービスが不足している人:約170万人*3
*データ出典
*1 UNICEF(2024) Humanitarian Situation Report No.1
*2 UNOCHA(2023)Humanitarian Transition Overview Iraq
*3 UNICEF(2023)Humanitarian Action for Children
ワールド・ビジョン・ジャパン支援事業第2部 人道・開発事業第4課(教育)
千葉 美奈(ちば みな)
紛争の影響により国内外に避難していた人々が帰還しつつあるイラクでは、国や生活を再建しようとする人々の懸命な努力が続いています。ワールド・ビジョン・ジャパンは、2018年よりジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成を受け、現地の人々とともに教育と子どもの保護事業を実施し、子どもたちが将来の可能性を広げることができるよう支援しています。教育を受けるという日常を取り戻すことが、子どもたちにとって希望となり、地域の安定や平和を築く重要な一歩となります。イラクの子どもたちの健やかな成長を一緒に見守り、ぜひ応援してください!