ベトナム、チャンエン地域が支援卒業を迎えました

(2022.10.7)

チャイルド・スポンサーシップを通して2007年から15年間ご支援いただいてきたベトナムのチャンエン地域開発プログラムは、当初の計画を達成し、2022年9月末日をもってプログラム終了を迎えました。

皆さまのご支援により、地域が変わり、子どもたちが「豊かないのち」を生きられるようになりました。
心からの感謝とともに、地域での活動をご報告いたします。

保健衛生:地域全体の行動変容につながっています

この地域では、5 歳未満児の栄養不良の割合が郡の平均より高く、安全でない水を原因とする感染症の流行も頻発していました。また保健スタッフの知識・技術不足によって、保健サービスも十分ではありませんでした。

しかし栄養クラブでの活動や、保健ボランティアと幼稚園教員を対象にした、乳幼児のための食事指導などを行った結果、子どもたちの栄養状態を改善することができました。学校では、安全な水を利用できるようにするために水衛生施設を整備したほか、研修を受けた教員が衛生に関する啓発教育を実践しました。生徒たちは学んだ知識を家族や他の子どもたちに伝え、それが地域全体の行動変容につながっています。

手洗いの大切さを習得し、幼稚園に設置された水道を使って、安全な水で手を洗う子どもたち

子どもの保護:地域全体で子どもを守り育てる活動を進めています

チャンエン地域では、子どもの保護や権利についての認識が低く、暴力の予防や通報に関する制度も整っていませんでした。また、山間部には子どもが安全に遊べる場所が少なく、事故や怪我が頻発していたことも課題でした。

そこで支援を通して、子ども用の運動場を整備したほか、子どもたちが様々な危険から身を守る方法を学ぶ研修を実施しました。また保護者にも、体罰・暴力が子どもに与える悪影響などを伝えました。こうした取り組みの結果、今では子どもを守り育てるための活動計画を人々が主体的に策定し、実施することができています。計画には子どもたち自身の意見も反映し、今後も地域政府と連携しながら活動を継続していきます。

支援地域から感謝の動画メッセージが届いています!

支援を受けたチャイルドの声

チャンエン地域で、農業を営む両親と暮らしていたアインさん。14歳のときに父親をエイズで亡くし、その後間もなく母親もHIVに感染していることが判明しました。病気に対する周囲からの差別と、将来への不安に直面したアインさんは、絶望的な日々を送っていたといいます。

そんな生活が大きく変わったのは、ワールド・ビジョンのスタッフが家を訪ねてきたことがきっかけでした。「さまざまな支援や精神的サポートを受けました。またHIVについて説明会を開催してくれたおかげで、この病気のことを村の人たちが理解してくれるようになったんです」。人生に希望を見出したアインさんは今、保育士になるという夢をかなえるために勉強に励み、さらにその合間を縫って、自分と同じような境遇の子どもたちが夢と自信を持って生きていけるようにと、月に一度、ワールド・ビジョンのスタッフとともに支援活動に携わっています。

彼女の母親も生計グループに参加し、生産性を高めるための米作りの技術や養鶏に関する研修を受けました。今では育てたニワトリを売って、安定した収入を得ることができています。

「長い間支えてくださったスポンサーの皆さまに、心から感謝しています。夢をかなえるため、そして母とのより良い将来のために、これからも頑張っていきます」

アインさん(21歳)「ワールド・ビジョンに出会って、夢に向かって歩き出すことができました」