【ミャンマー難民危機】人身取引のリスクにさらされている子どもたち

(2017.12.07)

人身取引の危険にさらされている難民の子どもたち

ミャンマー西部のラカイン州で勃発した暴力から逃れた多くの人々が暮らすバングラデシュの難民キャンプから届いた最新の報告は、子どもたちが人身取引の危険にさらされている、という深刻な警告でした。

ワールド・ビジョン・バングラデシュの子どもの保護(チャイルド・プロテクション)ナショナル・コーディネーターのタンジナ・アクタールは次のように話します。「難民危機が発生した際、最も配慮するべき事の大きな1つに、児童婚、児童労働、人身取引等から子どもたちを守るチャイルド・プロテクションがあります。子どもの人身取引に手を染める犯罪グループ(ブローカー)が地域には多く存在し、子どもや青少年、特に女の子が、人身取引に対して脆弱な状態にあります

2017年8月以来、約60万5000人もの人が、ミャンマーでの暴力に追われバングラデシュへ逃れています。そのうち60%は子どもで、その多くが親と生き別れています。
「そのような子どもたちは、ブローカーにとって簡単な標的となってしまうのです。今よりももっと手厚く、安全とセキュリティの確保をしなければいけません」

「ブローカーの男は、すでに4歳の娘を・・・」

娘を誘拐されそうになったラシアさん(仮名、35歳)は、次のように話してくれました。

「私たち家族は、難民キャンプに着いてから約1週間、食べ物も寝るところも、薬もなく、とても困難な状況でした。時には雨が降り、時には猛暑で、子どもたちは脱水から高熱を出し、咳も止まりませんでした。

子どもたちが安心して寝られるように、テントの両側を泥と薄いプラスチック板で補強しましたが、それだけでは危険から守れませんでした。片方は完全に開いていますし、壁がある側も、誰もが簡単に破れるような薄さです。

恐ろしい事件が起きたあの夜のことを、鮮明に覚えています。
私と長女の間に、4歳の娘を置いて寝ていました。ブローカーの男が、4歳の娘を抱えた時に、長女の腕に少し触れたのでしょう。目を覚ました長女が、叫んだのです。男は、娘を置いて逃げて行きました。追いかけましたが捕まえられませんでした。

ミャンマーでの暴力から逃れてきたのに、今は、新たな暴力におびえています。事件以来、子どもたちから離れずに、一緒に家で過ごしています。」

両親を失い、兄弟だけで暮らす子どもたち。脆弱性が増し、人身取引の危険に晒されています

子どもたちを守る、チャイルド・フレンドリー・スペース

ワールド・ビジョンは、暴力から逃れてきた子どもたちが、安心して過ごせる居場所、チャイルド・フレンドリー・スペース(Child Friendly Space, 以下 CFS)をバングラデシュの難民キャンプ内に設置しました。

「8日間歩いて、ここ(難民キャンプ)に辿り着いたの。すごく疲れて、お腹もすいていたわ。今は、家族と一緒にテントで暮らしているけど、狭くて暑くて...友だちと遊べなくなって、すごく寂しい」そう話すのはシャヒナちゃん、12歳。シャヒナちゃんは、故郷で通っていた学校をCFSで描きました。

ぼくは、両親とも死んじゃった。すごく寂しい。今は親戚と一緒にテントで暮らしている」そう話すのは、ショクフくん、12歳。
ショクフくんが描いた絵は、誰にも見せませんでした。

「ここにいると安心するけど、早くおうちに帰りたい」そう話すのは、ジャヨールくん、10歳。ジャヨールくんは、お花と星、ミャンマーとバングラデシュの国旗を描きました。

ワールド・ビジョンは、これから難民キャンプ内の40カ所にCFSを設置し、最低でも4,000人の子どもたちに居場所を届ける予定です。地域のボランティア・スタッフとともに、子どもたちとの交流や活動を続ける一方で、自治体やパートナー団体とともに、子どもの保護を強化できるように努めています。

「アルファベットが好き」と話す男の子たち
ミャンマーの学校を描いたシャヒナちゃん
CFSに集まっている子どもたちの様子

ミャンマー難民緊急支援募金へのご協力をお願いします

郵便振替:00130-6-254059「ミャンマー難民危機緊急支援募金のため」と明記の上、「特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン」宛にお振込みください。

※ワールド・ビジョン・ジャパンへの寄付は、税制優遇措置(寄付金控除)の対象となります。

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