【南スーダン飢饉対応】急性栄養不良から子どもたちの命を守るために

(2017.6.2)

南スーダンで、栄養支援事業をスタート

2017年5月2日より、南スーダンの旧ワラップ州トゥイッチ郡(現トゥイッチ州)*にて、急増する急性栄養不良に陥る子どもたちと妊娠・授乳中の母親の栄養状態の回復をサポートし、命の危険にさらされている子どもたちを守る、栄養支援事業を開始しました。この事業は、ジャパン・プラットフォーム(JPF)からの助成金と皆さまからの募金で実施しています。

紛争と食糧危機

2013年12月の紛争再発以降、南スーダンでは、紛争の影響、経済破綻、気候変動の影響、また避難を強いられた人々が農業に従事できない状況の継続などが原因で、食糧・栄養危機がかつてない危機的レベルに陥っており、深刻さを増しています。


2017年2月20日には、旧ユニティ州の一部地域で飢饉が宣言されました。約10万人が飢餓およびそれに伴う死に直面しています。さらに、総合的食料安全保障レベル分類(Integrated Food Security Phase Classification、略称IPC)の報告によると、南スーダンの人口の約40%にあたる490万人が深刻な食糧危機にあり、早急に対策が取られなければ、農作物の収穫が途絶える2017年7月までに、その数は550万人に達することが予測されています。加えて、ユニセフ(国連児童基金)は、南スーダン全土で推定100万人以上の子どもたちが急性栄養不良に陥っていると警告しています。

支援を開始した旧ワラップ州トゥイッチ郡も例外ではありません。紛争、経済危機、そして飢饉が宣言された旧ユニティ州などから逃れてきた人々と隣国スーダンからの帰還民による急激な人口増加が影響し、食糧危機が深刻化しています。旧ワラップ州では飢饉は宣言されていないものの、食糧危機のレベルを表すIPCのフェーズ3(危機的レベル)が州の大半を占めています。

2016年に実施された栄養状況に関する調査では、旧ワラップ州の全急性栄養不良(GAM)率平均は、旧10州制度*の中でも2番目に悪い22.9%であると報告されています。今、栄養治療のための対応策が実施されない限り、支援地の子どもたちの栄養状態は悪化の一途をたどることになり、子どもたちの命は重大なリスクにさらされています。

* 南スーダンでは2015年より行政区分の変更を進めていますが、本稿では旧10州体制に基づいて記述しています。



栄養失調の度合いを識別するスクリーニングを受ける子ども

命の危機にさらされている子どもたちを救うための支援


命の危機にさらされている子どもたちを救うため、国際NGOワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は、以下の支援活動に取り組みます。

  • 栄養治療の実施

既存の保健施設に併設している栄養治療センター(OTP*センター)24カ所と重度栄養不良治療センター2カ所を整備し、コミュニティを基盤とした急性栄養不良の管理(Community-Based Management of Acute Malnutrition: 略称CMAM)を実施します。具体的には、栄養不良の子どもおよび妊娠・授乳中の母親を識別するためのスクリーニングを行い、栄養治療および治療経過のモニタリングを行います。


栄養治療を受けるために集まる5歳未満の子どもたちと母親
  • 栄養治療に関わる人々の能力強化

急性栄養不良の管理(CMAM)に関する知識とスキルの習得を目的とした研修を行い、CMAMを適切に実施できる保健スタッフやコミュニティメンバーを育成します。また、保健省・保健局職員等関係者とともに活動のモニタリングを行い、連携強化を目指します。

*OTP: Out-patient Therapeutic Program: 外来栄養治療プログラム


今、南スーダンの子どもたちのために、
緊急食糧援助募金へのご協力をお願いしています。


コミュニティ栄養ボランティア研修の様子

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