「私は過去に起こった出来事を、もう恥じない。私には掴むべき、未来があるから」
ローズさん(仮名)は、ある日突然誘拐され、子ども兵士にさせられました。
それから人に暴力をふるうことや、望まない妊娠と出産を強いられました。
世界には、内戦や紛争が原因で、約25万人もの子ども兵士がいるといわれています。
暴力や死の恐怖にさらされ、笑顔や平穏とは程遠い幼少期を過ごしている、子ども兵士たち。
そんな彼らが、精神的な傷の克服だけでなく、社会復帰を成し遂げられるように、ワールド・ビジョンはサポートしています。
ローズさんも、幼い背中では、背負うことのできないような、悲しい過去を抱えた一人です。
それでも暗い過去に押しつぶされず、明るい未来を決してあきらめない、ローズさんの勇気あふれるストーリーを、ぜひご覧ください。
「それは、2015年の朝9時の出来事でした。
武装した集団が授業中になだれ込み、私を含めた11人のクラスメートが、誘拐されました。
『騒ぐな。少しでもしゃべったり抵抗したりしたら、殺すぞ』
銃口を頭に突きつけられながらそう脅され、恐怖に震えながら、黙って彼らについてくしかありませんでした」
攫われた先は、茂みの奥にある、武装集団の住処。
そこで彼女は、彼らの生活のための、洗濯や料理などの雑務をするだけでなく、逃げようとする仲間に暴力をふるうように命令されました。
「私が友達を殴らないと、彼らが私を、罰として殴るんです。
いつ殺されるかわからない恐怖、そして私がいなくなって、両親がどれだけ悲しんでいるかという苦しい想像でいっぱいで、息もできない日々でした」
暴力を受けている人のうめき声や、日常的な暴力や死に囲まれた、悲痛な毎日が始まりました。
さらに、ローズさんは絶望のどん底に落とされます。
「ある夜、男たちの集団がやってきました。
そして私と友達2人が、繰り返し繰り返し、性的暴行を受けました。
私は後日、妊娠が発覚したのです」
出産のため、ローズさんは住処から離れることを許可されます。
「絶対に戻ってこい」という命令に反し、この機会にローズさんは、命からがら家族と合流することができました。
しかし、彼女の苦しみは終わりません。
「『命を助ける、助産師になりたい』幼いころ抱いていた夢とは、真逆の人生になってしまったの...。」
生まれたばかりの赤ん坊は、障がいを抱えていると診断されました。
歩くことも話すこともできず、ローズさんを「お母さん」と認識することすらできません。
シングルマザーとして、この子をちゃんと育てていけるのかという不安と、深刻なトラウマを抱えながら、
彼女は毎日涙を抑えることができませんでした。
「ここが、きっと私の人生をまた明るくしてくれる。」
そんな中ローズさんは、同じように誘拐されて、子ども兵士になった過去を持つ、友達に出会います。
その友達に連れていかれた先は、ワールド・ビジョンが開催していた、職業訓練キャンプでした。
キャンプにいた子ども兵士だった他の友達らに、一人で抱えていた過去に対する苦しみを、初めて打ち明けることができました。
さらに2018年から、裁縫業の訓練を受けられるように。
一人では決して見えてこなかったであろう、
トラウマの克服と社会復帰の道が、ローズさんの目の前に開かれました。
「助産師になって、南スーダンの女性の助けになりたい」
立ち直る勇気をもらったローズさんは、幼いころの夢に、また挑戦することに。
平日は仕立屋として働き、稼いだお金で学費を払いながら、週末は専門学校に通っています。
もちろん大事な子どもの育児も、最優先に取り組んでいます。
ワールド・ビジョンは、彼女の居場所になるコミュニティ作りや、ソーシャル・ワーカーの派遣を通じて、彼女の信じられないような、勇気あふれる夢への挑戦を応援しています。
「最初の日から、ずっとソーシャル・ワーカーの方がそばにいてくれた。
定期的に会いに来てくれて、一人で戦わなくていいように、私を支えてくれたの」
救えない子どもの未来なんて、ありません。
どれだけ困難に見えても、子どもの未来をつかみ取ろうとする力強さと、私たち一人一人の力を合わせることで、その子が笑顔になる日は、必ずやってきます。
内戦・空爆・迫害といった政治的事件に巻き込まれ、死と隣り合わせの子ども時代をおくった子どもたち。
あなたも、恐怖の中にある彼らの命を守り、将来への希望をともしていただけませんか。
難民支援のための募金に、ぜひご協力ください。
詳しくは、下のリンクから。