(2023.03.06)
イザベル・スタッフは、25年のキャリアを持つ人道支援の専門家で、スイスのジュネーブを拠点に活動し、国際機関などとの関係構築、資金獲得、戦略策定、支援活動の実施、政策立案など人道支援に関わる様々な分野で指導的役割を務めています。そのような多彩な知見を持つイザベル・スタッフが語る教訓は、もしかしたら皆さまの予想を超えたものかもしれません。
これまでに、世界中のあちこちで大きな地震が発生しました。ハイチ、インドネシア、フィリピン、シリア、トルコ。日本も度々大きな震災に見舞われています。
これらの地震によって、多くの命が失われ、インフラが破壊され、家屋が倒壊しました。ワールド・ビジョンは、地震発生時にすぐに被災地に入り、人々に寄り添い、支援を届けてきたことで国際的にも信頼を得ています。
地震が発生するたびに悲しみに打ちひしがれます。しかし、悲しむだけではなく、地震の破壊的な影響に直面するたびに、自然の力に対応する最善の方法について学びを得ています。
イザベル・スタッフが地震の対応においてこれまでの経験で得た、5つの重要なポイントをご紹介します。
ワールド・ビジョンのスタッフと、ボランティアスタッフの多くは支援地域で生活しています。すなわち、彼らの家も被害を受けたり、破壊されている可能性があります。また、彼らの家族は避難を強いられるなど、困難に直面していることを考慮する必要があります。
震災後の混乱の中で、被害にあった人々に支援を届け続けるために、まずスタッフのケアを行うことが効果的で持続的な対応の鍵になるのです。
地震発生直後の最初の数時間・数日は、地方自治体・他の支援団体・国連との連携が重要です。住民と地域の指導者両者を含む地域コミュニティと対話を持ち、何が必要か、様々な関係者が対応している中で不足しているものは何か確認します。
状況を俯瞰的に確認することはとても重要です。商店が開いていて道路がまだ機能するのであれば、食料をトラックで運んで渋滞を発生させるよりも、被災者に現金を支給するのが良策かもしれません。
誰にどのような支援を届けるかの調整も、大事なことです。一部の人に支援を二重に届け、一部の人には何も届けないということは限られた資源と時間を無駄にしてしまうことに繋がります。効率的に、効果的な支援を届けるため、支援団体・地方自治体・国連と緊密に連携することが求められています。
震災を生き延びた人々に生きるために必要な支援を届けることは不可欠です。加えて、子どもたちは精神的ケア、また、心に傷を残す可能性のある地震の見えない影響に対処するための特別なケアを必要としています。
具体的には、子どもたちが安心して安全に楽しく過ごせる場所を提供することで震災前の日常の感覚を取り戻すことや、心理社会的支援を提供したり、子どもたちの学びたいという思いに応え続けるための教育支援などの活動を行うことです。震災の後は、被災した人々は人生をひっくり返され、大きなストレスを抱えています。このような状況の中で、子どもたちが安心・安全に過ごせる場所は、子どもたちを暴力のリスクから守ることにも役立ちます。さらに、緊急時に極端にぜい弱な立場に置かれた子どもたちを人身取引・性的搾取・児童婚などから守ることもできます。
震災直後に、まずその緊急事態に対応するのは被災地域のコミュニティの人々で、多くの場合、その地域に暮らすワールド・ビジョンのスタッフが含まれます。彼らはその地域で使われている言語を話すことができ、現場の状況をよく把握しているうえに、ともに支援を届けることができる人々との繋がりを持っています。
ワールド・ビジョンは、できる限り、コミュニティと連携し、コミュニティの努力を支援し、コミュニティのスキルの向上に協力します。コミュニティ全体が災害に立ち向かえるように、将来やってくるかもしれない危機に対して回復できるように日頃から備えるように支援しています。
ワールド・ビジョンは震災を生き延びた人々の尊厳と主体性を尊重するために活動しています。その手段には、様々なニーズを満たすための専門的な支援を提供することも含まれており、以下がその一例です。
私たちは受益者の声に耳を傾け、支援についてのフィードバックを得ることで、より効果的な支援を届けるため計画や活動を改善することができます。受益者には力があり、大切なパートナーです。
彼らには自分たち自身の人生と生活を再建する権利があり、そして、その力があるのです。皆さまの日頃のご支援によって、地震などの壊滅的な自然災害の影響を受けた子どもたちや家族を支える支援活動を迅速に展開することができます。ワールド・ビジョンのスタッフ、ボランティアスタッフ、そして様々なパートナーの勇気と献身によって、神様の愛と希望を支援という形で届けることができるのです。