(2022.11.16)
毎年11月19日は、国連が定める世界トイレの日です。
2030年までの新たな国際開発目標と「持続可能な開発目標:SDGs (Sustainable Development Goals)」のゴール6に「安全なトイレを世界中に」が掲げられており、トイレに関する課題の大きさ、トイレの重要性が注目されています。
世界では23億人が改善されたトイレ(衛生設備)を使用できない環境で暮らしており、世界の人口の約8人にひとりにあたる8億9,200万人が屋外排せつをしています。また、安全な水やトイレの利用の面において、農村部と都市部で著しい格差が生じ続けています。(UNICEF 2017)
ワールド・ビジョンでWASH(safe drinking WAter, Sanitation and Hygiene)ナレッジ・マネジメント・キャパシティー・アドバイザー(水衛生に関する知識と理解を促進するアドバイザー)を務めるリンドセイ・ランジスタッフは世界トイレの日にあわせて、トイレおよび衛生設備を安心して利用できることが健康と開発の基礎となる5つの理由を考察しています。
排泄は人類共通で、生きる上で必要な行為であるにも関わらず、トイレについて考えることはあまり好まれていません。私たちの多くにとって、排泄やトイレの話は笑い話や恥ずかしい話のひとつとして触れられるだけです。しかし、家庭で基本的な衛生設備を利用できない36億人にとって、トイレがないことは笑いごとではありません。
私には3人の子どもがいて、3人目の子どものトイレトレーニングがもうすぐ始まります。私は年長の2人の子どもたちのトイレトレーニングのことをよく覚えています。準備ができているかどうか心配したり、トイレトレーニングが終わっておむつが取れるのにどれくらいかかるのかどきどきしたり、急にトイレに行きたくなった時に駆け込めるように最寄りのトイレがどこにあるかを常に把握しておく必要に対してストレスを感じていました。 しかし、私たちが住んでいるアメリカでは、子どもが家にいても、学校にいても、病院にいても、居場所に関わらずに安全で清潔なトイレをすぐに利用することができます。
私が最寄りのトイレを探すことにストレスを覚える一方で、世界中の多くの母親が、家に安全なトイレがない、あるいはまったくない環境での子育てに対するストレスに直面しています。
しかも、そのような中、彼女たちは屋外や、必ずしも十分ではない施設での排泄が多くのリスクにさらされることを知った上で、子どもに排便方法を教えなければならないのです。
ワールド・ビジョンはコミュニティでより衛生的な環境が求められるよう働きかけることと、入手可能な価格の家庭用衛生施設・用品を継続して提供することの両方に注力し、衛生分野における活動を拡大しています。学校や医療施設では、女性や女の子、障害のある方のニーズを満たすトイレを設置しています。ワールド・ビジョンの支援は物品の提供や施設の建設、修繕だけではなく、トイレが長期間使用され、コミュニティの人々によって維持できるように、状況にあわせた行動変容を含む意識の醸成も合わせて行っています。
ワールド・ビジョンは2021年に世界中の230万人の家庭の衛生設備を改善し、904の学校と478の医療施設にトイレを建設しました。
世界トイレの日に、どうか、適切なトイレを利用できない世界中の36億人の人々の存在に目を向けてください。
子どもたちが安全に排便できる場所を見つけるのに苦労している母親のために、私たちはその話題に対する恥じらいを乗り越え、行動に移さなければなりません。排泄はすべての人間にとって普遍的なニーズであると同時に、安全でプライバシーと尊厳が守られているトイレを利用することはすべての人間の普遍的な権利なのです。