(2022.03.23)
大好きなタコのぬいぐるみを膝に乗せ、折りたたみ式のキャンプ用ベッドに微笑みながら座っているのは、ウクライナの女の子、ダイアナちゃん(9歳)です。このタコのぬいぐるみはお母さんからのプレゼントで、彼女の2番目に大切な持ち物です。
「私の一番大切なものは物ではなく、ペットの猫です。私の猫はとってもふわふわしていて、穏やかで、一緒に遊ぶととっても楽しい気持ちになります。食べるのが大好きな可愛い猫です。でも、私の猫はお父さんとともにオデッサに留まりました」と彼女は言います。
ダイアナちゃんの生まれ故郷の街、オデッサのすぐ近くに爆弾が落ち始めたとき、お母さんのイラさんは大変難しい決断をしなければなりませんでした。彼女は安全を確保するために、ダイアナちゃんと、彼女の姉と小さな甥を連れて330キロの道のりを2つの国境を越えてルーマニアに逃れました。
「私の街で紛争が起きているのです。私の家に危険物が舞い落ちてくるなど考えたくもありませんが、とにかくそこを去らなければなりませんでした」とイラさんは語ります。イラさんは、いつまた故郷に戻れるのかわからないまま、国境の向こう側で何が彼らを待ち受けているのかわからないまま、ただただ小型バスに駆け込まざるを得ませんでした。
「お母さんにとっても感謝しています。この気持ちを伝えるためにお母さんにカードを書きたいです」とダイアナちゃんは言います。
現在、ダイアナちゃんは、家族と一緒にルーマニアの国境の町、ヤシにある一時避難施設に滞在しています。ルーマニアのワールド・ビジョンのチームは、1日あたり最大450人を収容し、食料と基本的な医療を提供する、同避難施設で支援活動を行っています。ウクライナから避難のために到着する人々の増加が見込まれる中、ワールド・ビジョンは地域のパートナーと協力して、可能な限りすべてのぜい弱な子どもたちのケアを実施するために懸命に活動しています。
ダイアナちゃんは、大勢の子どもが避難施設にいて一緒に遊べるので、時にはそこで楽しい時間を過ごしていると言いますが、彼女と家族は不安定な状況に置かれています。学校もなく、収入もなく、決まった住所もありません。先行き不透明な状況を強いられているほかの子どもたちと同様に、彼女の表情にも不安が漂っています。ダイアナちゃんには、いつ彼女の家に戻って、お父さんと猫に再会できるのかわからないのです。
「近い将来の予定など何もありません。ただすべての困難が終わって欲しいと願うばかりです」と彼女は言います。
紛争は教育を妨げ、家族を引き裂き、子どもたちの未来を不確かなものにしてしまいます。これらのリスクは、進行中の新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)によってさらに深刻化し、凍えるような寒さの中で何百万人もの人々が、混雑した環境の中で避難所を求めて家を追われているのです。
国連は、ウクライナ国内で670万人が避難を余儀なくされる可能性があり、その圧倒的多数が女性と子どもであると推定しています*1。 2021年、ワールド・ビジョンは、緊急対応を通じて世界中の3,010万人を支援しました。
ワールド・ビジョンは、今後約3カ月にわたって避難所と衛生設備の提供、物資の輸送、人身取引や性的搾取を防止するための啓発活動等、子どもたちを保護するための支援プログラムを実施し、ヤシに一時避難している少なくとも4,800人の方々を支援することを目指しています。皆さまのご寄付でウクライナでの紛争を逃れ避難生活を送る、ダイアナちゃんと彼女の家族、その他の多くの子どもたちと家族を助けることができます。
*1 OCHA, Ukraine Situation: UNHCR Supplementary Appeal 2022(8 Mar 2022)
【ウクライナ危機のためにできる3つの支援】
ワールド・ビジョン・ジャパンでは、紛争等の影響により、危機的な状況にある難民・国内避難民を支援する「ウクライナ緊急支援募金」を受け付けています。皆さまのご協力をよろしくお願いいたします。