(2020.06.11)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がフィリピンを襲った3月以降、レニー・リンさん(27歳)は、医療従事者として多くの同僚とともに最前線で闘ってきました。政府からの要請を受け、幹線道路を行き交う人々の体温をスキャンしたり、故郷の村で咳やインフルエンザの症状のある人々への聞き取り調査を実施する等、常に感染リスクと背中合わせの仕事に従事しています。
「最前線で働くことは、敵(ウイルス)の顔が見えないだけに難しい課題だと感じています。私には小さな子どもがいるので、心配も尽きません。しかし、私はいま、人々から最も必要とされています。やめるわけにはいきません」
レニーさんの奉仕の心は、子ども時代の経験に根差しています。彼女は3人きょうだいの末っ子で、両親は農業を営んでいました。現金収入はほとんどなく、レニーさんたちきょうだいを学校へ通わせるのは難しい状況でした。
そのような時、チャイルド・スポンサーシップによる支援が決まり、レニーさんは学校に通えるようになりました。チャイルド・スポンサーとの関係の中で、彼女は寛容さとボランティアの心を学んだといいます。次第に、人を助ける仕事に就きたいと考えるようになったレニーさんは、支援を受けながら大学に進み助産師と看護師の資格をとりました。
「私を支援してくださったスポンサー、カナダにいるバーバラに感謝しています。大きな夢に向かって頑張れたのは、彼女のおかげでした」
パンデミックが起きる前は、医療サービスへのアクセスが困難な地域を訪問し、産前ケアや予防接種、乳児ケア、大人の検診を担っていたレニーさん。毎週、割り当てられた地域に向かうために悪路を何時間もかけて進み、医療サービスを届けていました。
「国がこのパンデミックから回復し、すべてが正常に戻ることを願っています。COVID-19からの完全復活を目指して、自分の役割を果たすのみです」とレニーさんは語りました。