新型コロナウィルス(COVID-19)の「パンデミック」宣言を受けウイルスのリスクに最もぜい弱な人々を守るため世界的な取組みが必要であるとワールド・ビジョンは強く懸念
(2020.03.12)
- ● 新型コロナウイルスは、医療設備が不十分で医療専門家が不足している国では壊滅的な被害をもたらす可能性がある
● 子どもたちはよりぜい弱な状況に追い込まれる可能性がある
● 世界の最貧国における死亡率は、これまで報告されている3.4%を上回る可能性がある
WHO (世界保健機関) による「パンデミック(世界的大流行)」宣言をうけ、国際NGOワールド・ビジョンは、新型コロナウイルス(COVID-19) が難民や移民、最貧困層の子どもたちの生命と生活に破壊的影響を及ぼさないようにするためには、結束した世界的な取り組みが必要だと警告します。
ワールド・ビジョンの医療専門家たちは各国政府に対し、ウイルスが自国の市民、企業、観光、貿易に与える影響だけに注目するのではなく、コロナウイルスの大流行が悲惨な結果をもたらす危険性のある、紛争で荒廃し、貧困の影響を受けている国々を支援するために結集するよう要請します。
ワールド・ビジョン・インターナショナルCEOのアンドリュー・モーリーは、 次のように述べます。「
WHOのパンデミック宣言は、我々が協力して国際的な対応を拡大すべきという合図です。ほとんどの国は自国の市民が自分たちの身を守ることに集中することでしょう。しかし、世界には、子どもたちを含む多くの人々が、医師、看護師、病院がほとんどない場所で、難民として、あるいは、国内避難民として暮らしていることを忘れてはなりません。私たちが最も懸念しているのは子どもたちです。その多くは、感染拡大が先行しているアジアで、すでに、家族の生計手段の喪失、学校の閉鎖、緊張状態にある医療制度の影響を受けています」 ワールド・ビジョンはすでに、ウイルスの発生が最初に報告されたアジアで、保護具や必需品の支給を開始し、子どもたちやその保護者、地域社会に健康に関するアドバイスや心理社会的支援を行っています。
しかし、ワールド・ビジョンの医療専門家は、今後、アフリカ・中東・中南米地域での危機拡大を強く懸念しています。中でも、ベネズエラの経済危機やロヒンギャ民族をめぐって引き起こされた紛争の影響を受けた難民、移民の人々についての影響を危惧しています。
ワールド・ビジョン・インターナショナルの保健・栄養分野の責任者、トム・デイビスは次のように述べます。
「 COVID-19 は非常に感染力が強く、不衛生な環境や人が密集している地域、保健サービスや公衆衛生システムが弱い地域で簡単に拡大するでしょう」「これは、大量の難民や避難民を受け入れている国や、医師、看護師、地域医療従事者、病院が著しく不足している国は、特別で緊急の支援を必要としていることを意味します」富裕国では一般的に人口1,000人当たり2~12床の病床数があると言われていますが、最貧国では1万人当たり1床しかありません。酸素、人工呼吸器、集中治療室が不足することもあります。難民キャンプでは、このような医療支援は一般的に受けられず、生活環境が劣悪で衛生状態が悪いため、COVID-19 での死亡率は、これまでに報告されている3.4%よりも高い可能性があるとデイビスは警告します。
また、保護者や世帯収入の担い手が病気になったり死亡した場合、子どもたちにとっての負の影響の連鎖は破滅的なものになる可能性があるとデイビスは警告します。
COVID-19 で病気になっている成人が急増しているため、保健局はその治療とケアに資源をシフトしています。そのため、子どもたちの日常的な保健・栄養サービスは保留されたり、資源が不足したりする可能性があります。
ワールド・ビジョンは、COVID-19に対応するために国連が提示した6150万ドルの要請に応えるよう呼びかけています。
※今後、ワールド・ビジョン・ジャパンで募金のお願いをする際には、改めて皆さまにご連絡いたします。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から子どもたちを守るため、募金へのご協力をお願いいたします。