(2018.02.06)
もうすぐバレンタインデー。「支援を届けている子どもたちも、成長すると、心ときめかせるロマンスや、熱烈な恋愛結婚のストーリーがあるの?」という素朴な疑問を、駐在スタッフ*に投げかけてみました。あくまでも各国の駐在スタッフが現地での暮らしと仕事を通じて感じている「印象」によるご当地事情ですが、子どもから大人へと育ちゆく子どもたちを取り巻く各国の現実が垣間見えるようです。
エチオピアは、エチオピア正教やイスラム教の影響もあり、伝統的に結婚相手は親が決めるものとなっています。恋をする前に結婚させられるケースが多く、恋をしても成就しないので、あまり積極的に恋はしないのではないかと思います。むしろ、早すぎる結婚のため、体が未成熟な女性の出産に伴う合併症が大きな問題になっています。
都市部の若者は、比較的自由に(親が認める範囲で)恋愛している印象はありますが、農村部の少年少女(特に女子)にとって、恋愛は贅沢なものなのかもしれません。
ベトナムのモン族は思春期になって両想いになると、13、4歳で結婚することがあります。ベトナムの法律では、男性20歳、女性18歳以上が結婚要件として定められており、ワールド・ビジョンでは、地元政府と協力し、住民への啓発を行っていますが、慣習は山岳部の少数民族に根強く残っています。支援地域では、子どもたち自身がなぜ若い結婚は問題なのかを学び、自分たちの身を守れるよう啓発活動を行っています。
親が相手を決める「お見合い結婚」が普通、というのが現地スタッフからの情報です。特にバングラデシュやスリランカなどの南アジアでは、結婚に伴い発生する「ダウリー」(持参金)の伝統を守る価値観もあり、ヒンズー圏では特にカーストの枠内でしか結婚すべきでないというタブーが感じられます。
結婚適齢期前に恋愛をしても、親が相手を決めるまでの間と割り切った理解の上で付き合っているように見受けられ、最終的には親に従い、決められた相手と結婚することで親の面目を立てる、という意味合いもあるようです。そのような環境の中でも、主張が強い子どもや、親も納得するような相手の場合に、若干の恋愛結婚カップルが生まれています。また都市部では伝統の影響を比較的受けないので恋愛結婚が多いようです。
ヨルダンの公立学校では、小学校1年生から日本でいう高校卒業まで男女別学のところが大半なので、私立学校に通わなければ、日常的に異性の子どもと会うことはありません。大学は大半が男女共学なので、公立学校出身の子どもたちはそこで初めて異性と肩を並べて勉強することになります。自由恋愛や恋愛結婚は文化的、宗教的に受け入れられていませんが、近所の異性の子どもや親せきの子どもに恋心を抱く子どももいるようです。その場合、最近はフェイスブックやSNSを使ってメッセージのやり取りをするそうです。
大学や職場で知り合ってデートするカップルもいますが、首都のアンマンでも恋愛結婚を親兄弟から認めてもらうのは至難の業とのこと。ちなみに同僚にヨルダンで流行っているラブソングの傾向について聞いてみましたが、「悲しい歌」のほうが多いそうです。「悲しい歌」のほうが人々の共感を得ているということは、叶わぬ恋を経験している人が多いということの表れかもしれません。
多くの人が最終的には親や親せきに勧められた相手と結婚します。しかし、結婚してからラブラブになるようです。バレンタインデーの夜は、宝石店街の道路が渋滞します。イスラム教徒は4人まで奥さんを持つことができるので、以前そのことについても同僚に尋ねてみたところ、一人の奥さんとその義理の親兄弟とうまくやっていくだけでも大変なのに、その苦労が二倍、三倍と増えるなんてとてもとても...とのことでした。
昨年は、バレンタインの時期に合わせて世界あちこちの「おやつ事情」を調べてみたところ、高級チョコレートを選ぶ熱気にあふれる日本からみると、はるかに質素で素朴なおやつに笑顔を見せる子どもたちの姿が印象的でした。
恋愛でもお見合いでも、支援を受けて成長した子どもたちが、やがて素敵な出会いに恵まれて、ゆたかな関係を築いていけますように。皆さまも、どうぞ素敵なバレンタインデーをお過ごしください。
*この記事は、木戸スタッフ(駐在経験:ベトナム、エチオピア)、三浦スタッフ(駐在経験:バングラデシュ、東ティモール、スリランカ)、渡邉スタッフ(駐在経験:ヨルダン)へのヒアリングを元に編集しました。