(2023.02.14)
世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョンは、現地時間2023年2月6日(月)にトルコ南部で発生した地震およびその後の一連の地震の影響で、10年以上におよぶ紛争の影響で以前から医療施設がぜい弱だったシリアにおける医療ニーズの高まりに警鐘を鳴らしています。人道支援をシリア北西部に届けることが困難で、国境を越えて支援が初めて届けられたのは発災3日後の2月9日(木)でした。特に医療物資は不足しており、現地では在庫が底をつきました。
現地の医療施設は、非常に限られた人員と物資で膨大なニーズに対応するという、想像を絶する課題に直面し続けています。地震発生以降、負傷した女性、男性、子どもたちが救急救命の手当のために医療施設に押し寄せています。地震発生から時間が経つにつれ、瓦礫の下から救出された生存者が重体であることが増え、医療ニーズは高まっています。
医師たちは、住居や水道インフラが今回の地震で壊滅的な被害を受けた影響で、子どもたちが低体温症の発症や、コレラやA型肝炎などの汚染された水を介して広がる感染症のリスクにさらされていると危惧しています。
昨年9月にシリア北西部ではコレラの大流行が宣言されていました。地震の発生前から数百人の子どもたちの命が危険にさらされ、この地域に暮らす子どもたちの健康は危機的状況に追い込まれていました。そのほかにも、栄養不良や発育阻害に苦しむ人々も増えており、特に母親と子どもたちが影響を受けています。ニーズに合わせて、人道支援が拡大されなければ、困難にある人々の状況は悪化し続けます。
ワールド・ビジョンのシリア対応プログラムの責任者を務めるヨハン・モイジは次のように述べます。
「私たちワールド・ビジョンは、この非常に困難な時期に最も喫緊のニーズが確実に満たされるように、休むことなく支援活動に取り組んでいます。これまでのところ、シリア北西部にはほとんど人道支援が届いておらず、何十万人もの子どもたちとその家族が凍える寒さの中に取り残されています。医療施設は地震による負傷者であふれかえっていて、より多くの医療物資が求められています。また、地震の影響で、安心して使える清潔で衛生的な水を得ることがより一層困難になっています。安心して使える安全な水を得にくいという課題によって、震災前からコレラ等の汚染された水を介して広がる感染症がまん延していました」
「この地震によって医療提供体制は著しく悪化し、以前から課題だった感染症がより一層深刻な課題となりました。かつてないほど深刻な健康リスクに人々は直面しているのです」
ワールド・ビジョンは、先週月曜日の地震発生直後から、被災地の状況と最も求められている支援が何かを確認する初動調査を迅速に展開しました。負傷者の搬送と治療を継続して行うことができるように、シリア北西部の医療施設と災害援助チームに17,000リットルの燃料を提供しました。また、同じくシリア北西部に点在する避難場所に避難している1,605世帯以上に、特に求められている暖房器具と燃料を提供しました。この支援により、被災し避難を強いられている家族が、電気を使い、よりよい対策が見つかるまで暖をとれるようになりました。
ヨハン・モイジは最後にこのように語りました。
「人道支援へのアクセスは常に開かれている必要があり、今よりもはるかに大きな危機を回避できるように支援を拡大しなければなりません。シリアでは、子どもたちが生きるためには、何としても支援が必要です。先週月曜日に地震が発生する前から、この地域では人々が長引く紛争に苦しみ、数十万もの人々が懸命に生き延びようとしていました。追い打ちをかけるように、今、彼らの住まいは破壊され、逃れる場所も、未来のために安心して学べる学校も、生きるために必要な医療も受けられない状態に陥っているのです」
キリスト教精神に基づき、貧困や紛争、自然災害等により困難な状況で生きる子どもたちのために活動する国際NGO。国連経済社会理事会に公認・登録された、約100カ国で活動するワールド・ビジョンの日本事務所です。
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特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン 広報担当:德永美能里
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