(2023.02.09)
世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョンは、現地時間2023年2月6日(月)にトルコ南部で発生した地震およびその後の一連の地震の影響で、シリアの子どもたちが家を失い、学校に通えなくなり、搾取や虐待の危機にさらされていると警告します。ワールド・ビジョンは、今回の地震に対して現場で初動調査と初期対応を行っています。
ワールド・ビジョンのシリア対応事業責任者を務めるヨハン・モーイは次のように述べます。
「ワールド・ビジョンがこれまでに対応してきた多くの緊急事態同様、今回の地震の影響を受けたシリアの子どもたちは非常にぜい弱な立場におかれています。シリアでは、今回の壊滅的な地震が発生する前から多くの困難がありました。現在、数十万人が家を失い、避難する途中で家族と離ればなれになってしまった子どもたちもいます。そのため、搾取や虐待に直面する危険がさらに高まっています。このような危機が発生した直後は、ぜい弱な立場におかれた人々に対する食料支援、避難先確保などの初期対応がまず行われるため、子どもたちを搾取や虐待から保護する体制が早期に整わないことがあります。その結果、深刻な事態の発生を未然に防ぐことが難しくなる可能性があります。残念なことに、支援と保護を最も必要としている時に、子どもたちのぜい弱な立場を食い物にして搾取する人々がいます。子ども支援団体として、子どもたちを保護し、安全を守ることはワールド・ビジョンの活動の主要な優先事項であり、今回の地震への対応において中心に据えていきたいと思います」
「特に、地震で壊滅的な被害を受けた紛争地域では貧困の度合いが急増しており、今回の地震発生前から虐待の深刻な脅威にさらされていた子どもたちに想像を絶するほど多くの課題と苦しみをもたらしています」
ワールド・ビジョンは現在、シリアとトルコ両国において初動調査を展開しています。併せて初期対応を行っており、避難先への燃料と暖房器具の配給を行うことで、避難を余儀なくされた家族が凍える寒さの中、低体温症やその他のリスクから守られています。
ヨハン・モーイは続けます。
「人道危機はシリア北西部において深刻で、今回の壊滅的な地震はすでに人々を取り巻いていた危機に拍車をかけ、トラウマをもたらしています。震災前から医療設備は状態が悪く、人々のニーズを満たせるものではありませんでしたが、今回の地震で多くが破壊されてしまいました。シリア北西部に暮らす家族は、氷点下の気温の中で、家も食料も手に入らない中、懸命に生き延びようとしています。併せて、今回の地震の物理的・精神的な影響に対応しようとしています。私たちは国際社会に対して、震災の前からすでに多くの困難に直面している人々への支援を優先するよう求めます」
ワールド・ビジョン・シリア対応事務所は、最も大きな影響を受けた人々が可能な限り早く支援を受けられるように、シリア北西部の甚大な影響を受けた地域への迅速かつ妨げのない人道的なアクセスを求めています。併せて、シリア危機に対応しているすべてのドナーと主要な関係者が人道支援と人々の健康を守るための初期対応のニーズを満たすために迅速に資源を動員し、中長期的に復興を支えることを求めています。
ヨハン・モーイは、最後にこのように語りました。
「現在、さらにぜい弱な環境に置かれ、搾取の危機にさらされている子どもたちが、できるだけ早く家や学校など安全な場所に戻れるようにすることが必要です。子どもたちは、今、氷点下の凍える寒さの中、病気のまん延、児童労働や児童婚といった適切な保護が求められるリスク、その他の搾取や虐待のリスクに直面しながら、懸命に生き延びようとしています。私たちは今日子どもたちの命を守り、未来を築くためにできることをすべてしなければなりません。シリア北西部に暮らす子どもたちは、世界中の他の場所で暮らすすべての子どもたち同様、豊かないのちを生きる権利があるのです」
キリスト教精神に基づき、貧困や紛争、自然災害等により困難な状況で生きる子どもたちのために活動する国際NGO。国連経済社会理事会に公認・登録された、約100カ国で活動するワールド・ビジョンの日本事務所です。
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特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン 広報担当:德永美能里
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