ワールド・ビジョンは、国連安全保障理事会によるシリア越境支援延長の決議を歓迎します

(2023.01.11)

世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョンは、2023年1月9日に、国連安全保障理事会がシリア越境支援を延長する決議を採択したことを歓迎します。この決議は、シリアにおける国境を越えた国連の活動をさらに6カ月間延長することを認め、いのちを救う人道支援物資がシリア北西部の400万人以上 *1 のぜい弱な人々、特に子どもたちに継続して届けられることを保証するものです。

この孤立した国境地域の住民は、越境(クロスボーダー)での人道支援を命綱として生きています。その中には170万人以上の子どもたち *2 が含まれ、その半数近くが現在学校に通っておらず、教育と保護サービスを切実に必要としています。 現在、シリア北西部では300万人以上が食料不足に陥っており *3 、子ども、妊婦、授乳中の女性は特に栄養不良と発育阻害に陥るリスクが高い状態です *4 。多くは仮設の避難所で生活しており、厳しい冬の気候から身を守ることができず *5 、コレラなどの致命的な感染症の蔓延にさらされています *6 。さらに心配なことに、人道状況の悪化と先行きの不透明さから、シリア北西部で行き詰まった女性、少女、若者の間で自殺念慮が増加する結果を招いており *7 、利用可能な精神保健サービスは増大するニーズをカバーするには十分ではありません。

シリアにおける人道上のニーズはこれまでになく高まっている中で *8 、越境での国連の活動を6カ月延長するという今回の決議は、女性、子ども、若者の緊急のニーズに応える鍵となります。国連の越境でのメカニズムの規模、範囲、透明性に見合った代替的な援助モダリティは現時点では存在しません。このメカニズムは、特に極寒の冬の季節に、ワールド・ビジョンのような支援団体が、支援物資や命を守るサービスを届けるための生命線です。

延長は歓迎されるべきですが、すべてのシリアに住む人々が安全で健康的な生活を送り、12年近くにわたる紛争と避難生活の後に繁栄できるようにするためには、より長期的な解決策が緊急に必要です。予測可能で原則に基づいた人道的アクセスをシリア全土で拡大し、維持するためには、外交的行動と政治的解決策が引き続き緊急に求められております。シリアの子どもたちの生存は、そのような緊急の対応にかかっているのです。

<注。5以外はすべて英語文献・サイト>
*1: UN News January 4, 2023
*2: U.S. MISSION TO THE UN Readout of Ambassador Linda Thomas-Greenfield's Meeting with NGOs for the Northwest Syria Response June 2, 2022
*3: UNOCHA Situation Report Accessed on January 2023
*4: UNOCHA SMART Survey Final Report 18 October, 2022
*5: ワールド・ビジョン・ジャパン プレスリリース 2022年12月22日「故郷を追われた女性たちのメンタルヘルスを厳しい冬が直撃。国際NGOが調査報告書を発表」
*6: World Vision Hundreds of thousands of Syrian children's lives at risk as cholera case rapidly increase
*7: World Vision "Reaching the Final Straw" Shedding lights on alarming suicide trends and perceptions impacting women, girls, and young people stuck in limbo in Northwest Syria December 7, 2022
*8: UN News June 29, 2022

ワールド・ビジョンとは

キリスト教精神に基づき、貧困、紛争、災害等により困難な状況で生きる子どもたちのために活動する国NGO。国連経済社会理事会に公認・登録され、約100カ国で活動しています。詳しくはこちら

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広報担当:德永 美能里 【電話】090-6567-9711 【Email】minori_tokunaga@worldvision.or.jp

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ワールド・ビジョン・ジャパンでは、シリア北西部における支援事業をワールド・ビジョン現地事務所と連携して実施しています。支援事業を実施する立場から見た今回の決議の意義について、ワールド・ビジョン・ジャパンの事業責任者がコメント可能です。電話・オンラインでのご取材が可能です。上記広報担当までお問い合わせください。