(2022.03.08)
【概要】
ウクライナから多数の避難民を受け入れているルーマニアのワールド・ビジョン事務所が行った調査は、同国における人身取引の広がりを示しました。ルーマニアの200人の少女 (14~19歳) を対象とした調査では、回答者の97%が人身取引の話を聞いたことがあり、半数以上 (53%) は女性が最も危険にさらされていると考えていました。人身取引の具体例については、回答者の72%が性的搾取、誘拐 (67%) 、人身売買 (65%) 、搾取的な労働 (34%) 、物乞いの強制 (30%) と答えました。
ワールド・ビジョンは、ウクライナでの紛争が始まって以来、緊急に必要な食料や病院の備品をウクライナ国内で配布するとともに、ルーマニア国内でウクライナからの国境を越えて避難してきた人々を支援するなど、積極的に対応しています。
ワールド・ビジョンの中東・東欧地域事務所の責任者で、ウクライナ危機、そして、シリアやアフガニスタンなど紛争による人道危機が現在も続いている国でのワールド・ビジョンの活動を率いているエレノア・モンビオは、以下のように述べています。
「この紛争以前から、東欧の一部地域では、弱い立場にある女性が人身取引の被害者となる高いリスクがありました。しかし、ウクライナでの紛争により、より多くの女性が人身取引のリスクにさらされています。避難を余儀なくされ、突如として極度の貧困状態に陥り、夫や他の家族を失い、あるいは、家族と離れ離れになり、この紛争の様々な影響が、毎時数え切れないほど多くの弱い立場にある女性を生み出しているのです。
今年、世界が国際女性デーを祝う時に、脆弱性につけこまれ人身取引の危険にさらされる女性の数が飛躍的に増加しています。移動や雇用に関する詐欺や不正行為によって、人身取引が行われる可能性があるのです。
近年、欧州で発見された人身取引の被害者の大半は、バルカン諸国および旧ソ連、特にウクライナ、ルーマニア、ブルガリア、ロシア、モルドバの出身者であることがわかっています」
ワールド・ビジョン・ルーマニアの事務局長、ミハエラ・ナバーは次のように述べています。彼女は、長年にわたりルーマニア国内で子どもたちや弱い立場にある人々への支援を指揮し、今回のウクライナ危機に際し、国境を越えルーマニアに逃れてきた人々とウクライナ国内の脆弱な人々への支援活動を率いています。
「今日、私たちは世界中で女性を祝福しています。しかし、この困難な時期における私たちの想いと祈りは、ウクライナの最も脆弱な女性たちに向けられています。先週ウクライナからルーマニアに逃れてきた難民の大半は女性でした。多くの場合、ケアが必要な子どもを2~3人つれたお母さん、妊婦さん、紛争から逃れてきた若い女性でした。彼女たちは、国境にたどり着くために何日も歩き続け、おびえて疲れ果てています。しかし、彼女たちが最も恐れているのは、自分自身の安全ではないのです。女性の大半は、自分の子どもたちや両親、家に残してきた配偶者のことを想い、恐れの中にあるのです。
ここ東ヨーロッパにおける人身取引のリスクは、ウクライナ危機以前から高まっていました。今ではそのリスクはさらに大きくなっているのです」
ワールド・ビジョンでは、ウクライナの紛争から逃れた子どもたちや人々への支援を近隣国のルーマニアやモルドバにおいて、また、ウクライナ国内において脆弱な立場にある人々への支援を行っています。
ワールド・ビジョン・ジャパンでは、紛争等の影響により、危機的な状況にある難民・国内避難民を支援する「難民支援募金」を受け付けています。皆さまのご協力をよろしくお願いいたします。
キリスト教精神に基づき、貧困、紛争、災害等により困難な状況で生きる子どもたちのために活動する国際NGO。国連経済社会理事会に公認・登録され、約100カ国で活動しています。詳細はこちら
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