(2020.08.07)
世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョンは、レバノンの首都ベイルートで起きた大規模爆発を受け、緊急支援募金の受付を開始しました。家を失った子どもたちや人々が食料や避難所等へ確実にアクセスできるよう、現在、12万人を対象とする緊急支援の準備を進めており、また、国際社会全体が速やかにこの事態に対応することを求めます。
「爆発が起きる前、私たちは(難民支援等のために)食料パッケージを提供していました。しかし、それに含まれる生鮮食品のほとんどは輸入品であり、大部分は港を経由してきていました。爆発は、最も弱い立場にある人々に食料を届ける私たちの活動と能力に深刻な影響を与えます。国内の在庫が底をつくと、新規の入荷は非常に難しくなるのではないかと懸念しています」と、ワールド・ビジョン・レバノンの事務局長、ハンス・べダースキーは語ります。
ワールド・ビジョンは、この爆発の被害を受けた子どもたちに、「心理的応急処置(Psychological First Aid)」を実施していますが、子どもたちへの長期的な影響を危惧しています。「子どもたちは、この悲劇的な出来事によって生じた破壊の凄まじさと衝撃を、決して忘れないでしょう」と、ワールド・ビジョンのスタッフ、チャーベル・エル・クーリーは言います。
130人以上が死亡し、5,000人が負傷、推定30万人が一瞬にして家を失いました。多くの家族が行政施設に避難していますが、行き場のない人々もいます。現場の被害状況と支援ニーズを調査したワールド・ビジョンの支援事業ディレクター、ラミ・シャンマはこう語ります。
「破壊の状況は、まるで以前の紛争や武力衝突の状況そのものです。この爆発による影響の実態を推し量るのは非常に困難です。
人々は、がれきに覆われた変わり果てた日常風景に、一様に大きなショックを受けています。どこから手を付けて良いのか分からないといった様子に、胸が張り裂けそうです。しかし、ほうきや手袋、バケツ等で家や通りの掃除を始める人々もいました。その連帯感には希望が持てます。私たちはきっと、この最悪な状況から抜け出すことができるでしょう」
今回の災害は、レバノンが、自国の経済危機と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急速な拡大、そして難民の大量受け入れという3つの危機の最中に起こりました。レバノンは国民1人当たりの難民受入れ数が世界で最も多く、推定150万人のシリア難民と他地域からの約2万人、さらに国連の要請によりパレスチナ難民も受け入れています。
「この状況に適切に対応し、レバノンで絶望的な状況にある子どもとその家族を支援するためには、500万米ドル(約5億2,700 万円)の資金が必要です。コミュニティの再建と人々の回復を支援するためには、国際社会と支援者の方々のご協力が不可欠です。レバノンはもう十分に苦しんでいます。彼らは強い人々ですが、この悲劇を生き抜くためには、世界の支援が必要です」と、シャンマスタッフは訴えました。
キリスト教精神に基づいて、貧困や紛争、自然災害等のために困難な状況で生きる子どもたちのために活動する国際NGO。国連経済社会理事会に公認・登録されています。詳しくはこちら
特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン 広報担当:市山志保
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