ガザのスタッフにかけられた嫌疑に対する、ワールド・ビジョン総裁/最高責任者ケビン・ジェンキンスによる声明

(2016.8.9)

キリスト教精神に基づく、専門的な人道支援団体として、ワールド・ビジョンは真理と透明性に対する義務を極めて深刻に捉えています。私たちは65年以上にわたって、子どもたちとその家族、そして彼らが暮らす地域社会とともに世界の貧困と不正義を克服する、という団体の使命に対して忠実であり続けてきました。

ワールド・ビジョンは、モハマド・エル・ハラビに対する申し立ての背後にある真実を理解しようと努めています。ワールド・ビジョンはいかなる人道組織からのいかなる資金の流用も非難し、いかなるテロ行為、および、そのような行為への支援を強く非難します。

モハマドに対する容疑が正式に公表された先週木曜日の8月4日、ワールド・ビジョンは初めて今回の告発について知りました。嫌疑の重大さを受け、現在ガザでの活動は停止しています。第3者によるフォレンジック監査(法廷における証拠能力を有することを意図して行われる監査)の実施を含め、全面的な調査を行っており、進行中の捜査に対して真摯な協力体制をとる方針です。

私たちは、容疑の背景にある証拠、そして、ワールド・ビジョンの説明責任基準を検査する第3者によって提供される証拠のすべてを慎重に調査します。万が一、現在の起訴内容が事実であることが証明された場合、私たちは、迅速で断固たる行動を取ります。しかし残念ながら、これらの証拠はまだ示されていません。現在進行中の対話が、認識の相違の解消につながることを願い、公正で透明性のある法的手続きが進められることを求めます。

過去10年間のワールド・ビジョンによるガザでの事業予算は累計約2,250万米ドルで、最高で5,000万米ドルが流用されたという疑惑と一致しません。モハマド・エル・ハラビが事業マネージャーを務めたのは2014年10月からで、それ以前はガザの事業予算の一部のみを管理していました。ワールド・ビジョンは説明責任を果たすプロセス上、モハマドと同じ役職に与える署名権限の上限を15,000米ドルとしています。

ワールド・ビジョンは、資格要件を満たし、団体の理念に賛同し、事業パートナーや地域社会、そして事業自体にリスクをもたらさない人材を確かに採用するためのプロセスを有しています。身元調査の実施に加え、約20の異なるブラックリストを有し高い評価を受けているウォッチドッグエリートシステム(WatchDOG Elite System)を利用し、これらブラックリストに載っているメンバーを採用過程で排除しています。

ワールド・ビジョンは、1975年より「聖地」(パレスチナ)の子どもたちとその家族、そして彼らが暮らす地域社会とともに働いてきました。エルサレム、ヨルダン川西岸地区(以下、「西岸」)、ガザにまたがる5つの事務所に150人のスタッフが在籍し、これまでに約560,000人に支援を届けてきました。

昨年は、エルサレム、「西岸」、およびガザでの活動を通して92,000人以上の子どもたちが直接支援を受け、そのうち40,000人はガザの子どもたちでした。この地域では、子どもたちの心のケア、病院への医療用品などの提供、食糧支援、農業復興を通した生計向上を中心に、事業を行っています。これらの活動は、ドイツやオーストラリア政府をはじめ、国際的なドナー(資金拠出者)や他国のワールド・ビジョンスタッフによる訪問を受け、調査が実施されています。

今回の出来事が、世界中の数十億人の子どもたちに影響を与えている貧困と不正義の重要な問題から私たちの仕事を引き離していることは、非常に痛ましいことです。ワールド・ビジョンは引き続き、透明性を保ち、進行中の法的手続きを尊重し、また、団体の価値観を大切にしながら、ガザを含め、世界中で活動している人道支援団体との信頼を築くことに、全力で取り組んでまいります。

【ワールド・ビジョン・ジャパンとは】
キリスト教精神に基づき、貧困や紛争、自然災害等のために困難な状況で生きる子どもたちのために活動する国際NGO。国連経済社会理事会に公認・登録された、約100カ国で活動するワールド・ビジョンの日本事務所です。

【この件に関するお問合せは】
浅野 恵子 【メール】keiko_asano@worldvision.or.jp 【携帯】090-6567-9711

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