2011.06.17
5月26日・27日の両日、フランスのドーヴィルで主要国首脳会議(G8サミット)が開催され、G8首脳は「自由及び民主主義」のための新たなコミットメントに合意しました。
しかし、飢餓や貧困に苦しむ世界中の人々に対して、明確な処方箋を示すことはできませんでした。
G8首脳は、昨今の中東・北アフリカ情勢や世界経済などの地球規模課題について協議しました。その一方で、子どもとお母さんの命を救うための取組みや世界の飢餓の解決に向けて、過去のサミットでなされた援助公約をどのように実施していくのかという議論は主要議題から落ちてしまいました。
サミットに先立ち、ワールド・ビジョンは、2009年のラクイラ・サミットで「ラクイラ食料安全保障イニシアティブ」のために約束された合計220億ドルの資金に関して、各国政府に対し、約束した資金をどのように拠出していくかを示す行動計画の策定を求めました。また、昨年のムスコカ・サミットで、世界中の子どもとお母さんの健康状態を改善するために約束された73億ドルを、速やかに拠出することを求めました。
サミットの開幕にあたって、ワールド・ビジョンは、フランスの大統領夫人で現在妊娠中のカーラ・ブルーニさんに、フランスでは簡単に手に入れることのできる赤ちゃん用品の詰まったバスケットを届けました。「赤ちゃんのケアグッズや、出産前後に必須の保健サービスへのアクセス。先進国では簡単に手に入りますが、途上国のお母さんたちにはなかなか手が届かないことを知ってください」というメッセージのこもった贈り物でした。
ワールド・ビジョンのドーヴィル・サミットに向けた提言は、現地入りしていた世界の多くのメディア関係者の注目を集め、サルコジ大統領に誕生する赤ちゃんは、例えば西アフリカのチャドに生まれる赤ちゃんと比べると5歳の誕生日を祝うことができる確率が52倍も高い、という事実とともに、世界に向けて配信されました。
G8首脳の「強くコミットし続ける」という成果文書の言葉とは裏腹に、過去のサミットでなされた公約の水準で援助を拠出しているG8国は、イギリスと米国だけです。
今秋にフランスのカンヌで開催されるG20サミットでは、食料安全保障が主要議題の一つとして協議される予定です。世界で一人でも多くの子どもたちが5歳を超えて豊かな命を生きられるよう、ワールド・ビジョンは各国事務所で連携しながら、政府へのアドボカシーを続けていきます。