(2016.9.7)
MDGs (ミレニアム開発目標)の1つであった「初等教育の完全普及の達成」が実を結び、2015年に発表された「MDGs報告書2015」によると、15歳から24歳の男女の識字率が1990年の83%から、2015年には91%まで上がりました。
それでもなお、世界には、学校に通えない子どもが約5800万人、読み書きができない大人が約7億8100万人います。(データ出典:UNESCO EFAグローバルモニタリングレポート2015)
また、初等教育を受ける子どもの数は増えたものの、教室の収容限度を大幅に超えた状態で授業が行われているため、教育の質は非常に低く、学校に通ったにもかかわらず、読み書き・計算の基礎学力が乏しい子どもたちがたくさんいます。
1965年9月8日、イランのテヘランで開かれた世界文相会議において、当時のイラン国王が、各国の軍事費の一部を識字教育に拠出するよう提案したことを記念して、UNESCO (国際連合教育科学文化機関)が国際デーとして制定し、1966年9月8日に初めての「国際識字デー」を迎えました。
毎年「国際識字デー」では、識字の重要性を国際社会に呼びかけるためのイベントが、世界各地で行われています。今年は、50周年を記念する特別な年として、一層、識字や教育へのアドボカシー活動が高まっています。
ワールド・ビジョンは、チャイルド・スポンサーシップを中心とする開発援助や緊急人道支援を通じて、どのような状況においても、子どもたちが教育を受けることができるように環境を整え、必要に応じて、学校教育を補完するような教育支援を行っています。
子どもたちが、学校に通うだけでなく、通っている学校で質の高い教育を受けられるよう、教室の数を増やしたり、椅子や机、教材などの補完を行い、子どもたちが安心して学べる環境を整えています。また、教員の研修も大事な支援の一環として、定期的に行っています。
インドで行われているチャイルド・スポンサーシップによる支援で、放課後プログラム、「読書クラブ」に通うシャキちゃん、8歳。とびっきりの笑顔で「本を読むことが1番好き!その日に学んだことを記録するアクティビティも、同じぐらい好き!」と興奮しながら、話します。
シャキちゃんは、ほんの数カ月前まで、読み書きが一切できませんでした。そのため、学校に行くのが嫌で、口数も少なく、消極的な子でした。しかし、ワールド・ビジョンが始めた放課後の「読書クラブ」に参加するようになってから、シャキちゃんの読み書き能力は飛躍的に向上しました。
読書クラブは、小学生低学年を対象とした識字強化プログラムの1つで、放課後や週末に子どもたちが読み書きを学ぶ場です。研修を受けた地域のボランティアスタッフが、遊びの要素を取り入れたゲーム、歌、工作などを使って楽しく読み書きを学びます。
「子どもたちに見られる成果は、予想以上のものです。読み書きができるようになっただけではなく、勉強への意欲がとても強くなりました」
ボランティアスタッフのプージャさんは、嬉しそうに語ります。
現在、シャキちゃんを含め450人の子どもたちが、インドの支援地域内にある66の読書クラブに通い、読み書きを学んでいます。