(2016.11.11)
10月25・26日、G7伊勢志摩サミットのフォローアップとして「食料安全保障・栄養に関するG7国際シンポジウム」が、外務省主催で開催されました。ワールド・ビジョン・ジャパンはこの会議に参加し、栄養改善を目指す取り組みに不可欠となるコミュニティの視点を提言しました。
ワールド・ビジョンは、2013年より国際的にも国内的にも栄養改善の重要性に関する認識が高まるよう、他の団体と協働でアドボカシーを行っています。
2015年7月には、国内での栄養改善に関する機運の高まりを目指し、様々なステークホルダーが栄養改善の分野で効果的な連携ができるよう、「国際母子栄養改善議員連盟」の設立に関わり、その後の会合開催も協働しています。
2016年6月には、ODA実施の面で資金拠出の責任を担う財務省とNGOの定期協議会にて、途上国における発育不良・栄養問題についてプレゼンテーションを行い、栄養問題に対する日本政府としてのさらなる取り組みを訴えています。
このような活動の背景には、世界が目指す目標「SDGs」の存在があります。
2015年9月25~27日、ニューヨーク国連本部において、「国連持続可能な開発サミット」が開催され、150を超える加盟国首脳の参加のもと、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ
「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」は、このアジェンダの中の目標にあたる部分で、2030年までに達成が求められる17の目標と169のターゲットを含んでいます。
SDGsは、途上国だけではなく、先進国を含むすべての国がその達成に向けて責任を持つ普遍的な目標です。そのため、日本政府も2016年5月に「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」を首相官邸に設立し、日本政府としてどのようにSDGsを実施していくかを定める「SDGs実施指針
市民社会としても、ワールド・ビジョンが進行役を務める「SDGs 市民社会ネットワーク
ワールド・ビジョンは、前出のSDGs 市民社会ネットワークを通じた実施指針への提言活動に加え、実際のSDGsの達成に向け、多くの取り組みを行ってきました。
その中でも重要な取り組みの一つが、栄養改善に向けたアドボカシーです。
栄養改善は、SDGsの「目標2:飢餓を終わらせ、食料安全保障および栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」の中に含まれています。特に、ターゲットの2.2では、「5 歳未満の子どもの発育阻害や消耗性疾患について国際的に合意されたターゲットを2025 年までに達成するなど、2030 年までにあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズへの対処を行う」ことが記載されています。
しかし、現実を見てみると、栄養不良は年間590万人に上る5歳未満児の死亡要因の約半数に関係する深刻な課題にも関わらず、栄養改善については必要な対策がいまだ十分にとられているとは言い難い状況です。国際食糧政策研究所によると、各国や援助団体が現行の対策を続ける限り、国際的に合意された目標であるWHO(世界保健機関)の「国際栄養目標2025」の6つの目標を、期限までに達成できる国は約3割に止まる見込みです 。この要因の一つとして、栄養改善の重要性が国際的にも国内的にもいまだ十分に認識されていないことがあげられます。
2017年には、イタリアにてG7サミットが開催されます。また、2020年に開催される東京オリンピックでは、イギリスからブラジルに引き継がれ日本がそのバトンを受け継ぐ「成長のための栄養(Nutrition for Growth)サミット」の開催が期待されています。
このような重要な機会に、より多くの人々が栄養改善に関する重要性を共有し、協働して取り組みを行うための意思を持ってもらうため、ワールド・ビジョンでは、引き続きアドボカシーを続けていきます。