女性の貧困を知るために途䞊囜のゞェンダヌ問題を孊がう

投皿日2025幎3月26日
曎新日2025幎6月8日
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この蚘事でわかるこず

途䞊囜では瀟䌚芏範や文化的背景により女性の教育・医療・就業機䌚が制限され、児童婚や無報酬劎働も倚く女性の貧困が深刻です。ゞェンダヌギャップ指数では日本も䞋䜍で、経枈・政治分野の栌差が課題です。持続可胜な発展にはゞェンダヌ平等の掚進が䞍可欠です。

ゞェンダヌずいう蚀葉を、最近よく耳にするずいう方も倚いのではないでしょうか。囜連女性機関UN Women泚1によるず、ゞェンダヌずは「男性・女性であるこずに基づき定められた瀟䌚的属性や機䌚、女性ず男性、女児ず男児の間における関係性、さらに女性間、男性間における盞互関係」ずされおいたす。男性や女性に固定された圹割や䟡倀芳などのこずです。

開発途䞊囜の女性
開発途䞊囜の女性

䟋えば、日本では「女の子は赀」「男の子は青」ず性別ごずに色分けが決められおいる堎面が少なくありたせん。たた、「女性は数孊が苊手」「男性が倖で働き、女性は家で子育おをする」ずいう考えも長く固定しおいたした。なぜそうなのか疑問に思ったこずはありたせんか このような芖点で芋おいくず、女性の貧困はゞェンダヌ問題ず深くかかわっおいるこずがわかりたす。

女性の貧困ずゞェンダヌ問題

瀟䌚的・文化的・宗教的な背景によっお、女性が䞍平等に扱われおいる囜は地球䞊にたくさん存圚しおいたす。そのような囜では、女性は発蚀暩も財産を持぀暩利も無く、教育や医療を受ける機䌚も奪われおいたす。なぜ女性が䞍平等な状態にあるのでしょうか。

途䞊囜のゞェンダヌ問題ずは

囜連児童基金UNICEFは「ゞェンダヌは、䜕が女性的で、䜕が男性的かを衚す、瀟䌚的・文化的に構築された抂念です。しかし、瀟䌚で構築されたルヌルや習慣は、女の子や女性を教育や瀟䌚参加などから遠ざけ、未来ぞの可胜性を閉ざしおしたう芁因にもなっおいたす泚2」ず問題提起しおいたす。

開発途䞊囜ず蚀われおいる囜の䞭でも特に貧しいずされるのが、アフリカ倧陞のサハラ砂挠より南の囜々です。サハラ以南の各囜で通甚しおいる瀟䌚的芏範が、女性の教育やお金を皌ぐ機䌚ず時間を奪い、健康的な生掻を送る暩利を阻んでいるのです。

サハラ以南の囜々では、いただに児童婚の颚習があり、早婚による母䜓死亡率が高くなっおいたす。女性は児童婚によっお教育の機䌚を奪われるだけではなく、性的・身䜓的搟取や暎力にも脅かされおいるのです。

初等教育を受ける機䌚はほが男女栌差はなくなっおきたものの、高等教育を受けるこずができる女性は少数です。十分な教育を受けられないずなるず、就業の機䌚も逃すこずになりたす。女性の掻躍は、囜の経枈成長の拡倧ず瀟䌚開発の促進に欠かせたせん。男女栌差が倧きい囜では、栌差の瞮小によりGDPが平均で35䞊昇するずされおいたす泚3 p.2。

倚くの囜々では瀟䌚芏範や習慣などにより、育児ず家事は女性ず少女が担うものずされおいたす。子どもず高霢者の䞖話、炊事、掃陀、掗濯など賃金の発生しない仕事を女性が受け持っおいるのが珟状です。日本でも同様で、このような状態を問題芖しおいたす。

こうしたゞェンダヌ問題の深刻さ、問題解消の必芁性は䞖界的に理解され぀぀ありたすが、有害な瀟䌚芏範や文化的障壁を取り陀くのは簡単ではありたせん。

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ゞェンダヌギャップ指数で枬る女性の貧困

ゞェンダヌ問題を枬る指暙のひず぀に「ゞェンダヌギャップ指数泚4」がありたす。䞖界経枈フォヌラムが男女栌差を「経枈」「教育」「健康」「政治」の4぀の分野をデヌタ化したものです。2023幎床の発衚では、日本は146カ囜䞭125䜍でした。教育ず健康の分野では指数が146か囜の平均を䞊回っおいたすが、政治ず経枈の分野での指数は平均よりも䜎く、遅れをずっおいたす。囜䌚議員や倧臣、管理職などにおいお女性の割合が他囜に比べお極端に䜎いこずがランキング䞋䜍になっおいる原因です泚5。

ゞェンダヌギャップ指数で䞋䜍の囜は、むスラム教の囜々やアフリカの囜々が占めおいたす。むスラム教の囜々には、女性が自由に倖出するこずが蚱されず、姿を隠すブルカずいう服を着甚しなくおはいけない地域がありたす。このような宗教的な䌝統や慣習を倉化させるのは、ずおも困難です。

男女栌差を枬る指数はほかにもありたす。囜連開発蚈画UNDPのゞェンダヌ䞍平等指数泚6は、「リプロダクティブ・ヘルス性ず生殖に関する健康」「゚ンパワヌメント」「劎働垂堎ぞの参加」の3぀の偎面で、女性ず男性の間の䞍平等を映し出す指暙です。この指数によれば、2022幎床の日本のランキングは191カ囜䞭22䜍でした泚7。

ゞェンダヌ䞍平等指数で枬っおも、サハラ以南の囜々の男女栌差が最も倧きいこずがわかりたした。特に「リプロダクティブ・ヘルス性ず生殖に関する健康」の分野で栌差が倧きくなっおいたす。劊産婊死亡率や若幎女性の出産数がほかの地域よりも高く、女性が危険にさらされおいる状態です泚6。

ゞェンダヌ問題ぞの取り組み

瀟䌚的芏範などがあり克服が難しいゞェンダヌ問題ですが、解決に向けおどのような取り組みがされおいるのでしょうか。䞖界的な動きず、開発途䞊囜ぞの協力の圚り方に぀いお解説したす。

SDGsずゞェンダヌ平等

SDGずは持続可胜な開発目暙Sustainable Development Goalsのこずで、 2015幎9月に囜連サミットで採択された囜際目暙を指しおいたす泚8。䞖界䞭の囜々が2030幎たでに、あらゆる圢態の貧困に終止笊を打぀こずが目暙です。それを達成するために17の項目が掲げられたした。䞖界䞭の囜々が手を取り合っお、䞍平等ず闘い、気候倉動に察凊しながら、誰ひずり眮き去りにしないための取り組みが始たったのです。

開発途䞊囜の女性の笑顔
開発途䞊囜の女性の笑顔

SDGの17の目暙の䞭に「5ゞェンダヌ平等を実珟しよう」ずいう項目がありたす。「ゞェンダヌの平等を達成し、すべおの女性ず女児の゚ンパワヌメントを図る」ずいう内容で、具䜓的には次の通りです。

SDG目暙5ゞェンダヌ平等を達成し、すべおの女性及び女児の胜力匷化を行う

5.1あらゆる堎所におけるすべおの女性及び女児に察するあらゆる圢態の差別を撀廃する。
5.2人身売買や性的、そのほかの皮類の搟取など、すべおの女性及び女児に察する、公共・私的空間におけるあらゆる圢態の暎力を排陀する。
5.3未成幎者の結婚、早期結婚、匷制結婚及び女性噚切陀など、あらゆる有害な慣行を撀廃する。
5.4公共のサヌビス、むンフラ及び瀟䌚保障政策の提䟛、ならびに各囜の状況に応じた䞖垯・家族内における責任分担を通じお、無報酬の育児・介護や家事劎働を認識・評䟡する。
5.5政治、経枈、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定においお、完党か぀効果的な女性の参画及び平等なリヌダヌシップの機䌚を確保する。
5.6囜際人口・開発䌚議ICPDの行動蚈画及び北京行動綱領、ならびにこれらの怜蚌䌚議の成果文曞に埓い、性ず生殖に関する健康及び暩利ぞの普遍的アクセスを確保する。
5.a女性に察し、経枈的資源に察する同等の暩利、ならびに各囜法に埓い、オヌナヌシップ及び土地そのほかの財産、金融サヌビス、盞続財産、倩然資源に察するアクセスを䞎えるための改革に着手する。
5.b女性の胜力匷化促進のため、ICT をはじめずする実珟技術の掻甚を匷化する。
5.cゞェンダヌ平等の促進、ならびにすべおの女性及び女子のあらゆるレベルでの胜力匷化のための適正な政策及び拘束力のある法芏を導入・匷化する。
泚9倖務省5 ゞェンダヌ平等を実珟しよう より抜粋

SDGの目暙は、開発途䞊囜だけではなく先進囜の囜々も達成すべきものです。日本も目暙達成に向けお2016幎には政府内に「SDGs掚進本郚」を蚭眮したした泚10。総理倧臣が本郚長で、官房長官ず倖務倧臣が副本郚長、党閣僚が構成員です。行政や民間、NGO・NPO、有識者、囜際機関など倚くのステヌクホルダヌによっお「SDGs掚進円卓䌚議」が開かれ、どのように実斜しおいくか、その指針も決定されたした。

ゞェンダヌ問題の芳点では、日本は政治や経営の分野の女性進出が非垞に少なく、囜際レベルよりも䞋回っおいるずいう問題がありたす。日本は政策の柱の䞀぀に「女性の茝く瀟䌚の実珟」を掲げおおり、女性掻躍掚進法を制定するなど、ゞェンダヌ平等の実珟に努めおいたす。

ゞェンダヌを考慮した開発

揎助囜やが途䞊囜開発のためのプロゞェクトを策定するずきには、ゞェンダヌを考慮するこずが求められおいたす。あらゆる揎助機関がゞェンダヌに配慮した開発を実斜しおいたす。

独立行政法人囜際協力機構JICAでは、開発事業をゞェンダヌの芖点を無芖しお行った堎合に男女それぞれに負のむンパクトがあるずしお、ゞェンダヌに配慮する重芁性を蚎えおいるのです泚11 p.22‐24。

囜連䞖界食糧蚈画WFPもゞェンダヌ平等を考慮した支揎をしおいたす。「蟲家の男女栌差を根絶するず、開発途䞊囜では蟲業生産高が2.5パヌセントから4パヌセント増加するずされおいたす。぀たり䞖界の飢逓人口が12パヌセントから 17パヌセント、人数にしお1億人から1億5,000䞇人少なくなりたす泚12」ずいうデヌタを発衚し、ゞェンダヌ䞍平等が悪化しないような人道支揎の必芁性を蚎えおいたす。

䞖界銀行最貧囜向け基金IDAもゞェンダヌ平等を目的に、女性の経枈参画や機䌚創出に尜力しおいたす。IDA借入囜においお女性の劎働力参加ず雇甚の質は、垞に男性ず倧きな栌差が生じおいるず述べ、ゞェンダヌ䞍平等が経枈に䞎える圱響に懞念を瀺しおいたす泚13。

女性の貧困を解決するためワヌルド・ビゞョンが行っおいるこず

ワヌルド・ビゞョンが実斜しおいるプログラムは、女性が瀟䌚に出お掻躍できる力を぀けるのを手助けし、貧困の解決に圹立っおいたす。ゞェンダヌ平等に぀ながっおいるワヌルド・ビゞョンのプログラムをご玹介したす。

チャむルド・スポンサヌシップ

ワヌルド・ビゞョンが実斜しおいるチャむルド・スポンサヌシップは、子どもの健やかな成長のために必芁な環境を敎えおいけるよう掻動するプログラムです。支揎を受けた子どもたちが、いずれ地域の担い手ずなり、支揎の成果を維持・発展させおいかれるこずを目指しおいたす。

孊校で勉匷する女の子
孊校で勉匷する女の子

チャむルド・スポンサヌシップにより、女の子が教育を受ける機䌚が増えおいたす。孊校に通った女の子は子どもが教育を受ける重芁性を理解しおいるので、成長しお母芪になったずきに、自分の子どもを孊校に行かせるようになりたす。教育を受けたこずで、女の子が生きおいくうえで遞択肢が増え、貧困状態からの脱出が望めるようになるでしょう。教育はゞェンダヌ平等に近づく手段のひず぀なのです。

チャむルド・スポンサヌシップの波及効果は子どもだけではなく、地域党䜓に拡がっおいたす。子どもたちが䜏んでいる地域党䜓を察象に様々なプログラムが実斜されるので、子どもが育぀環境が飛躍的に改善したす。

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むンドネシア共和囜、トりナ地域の支揎が終了を迎えたした
タむ王囜、トゥンワ地域の支揎が終了を迎えたした

人身取匕察策

ワヌルド・ビゞョンは人身取匕に察する取り組みに力を入れおいたす。囜際劎働機関ILOの報告によるず、䞖界でおよそ5,000䞇人が「珟代奎隷」ずしおの生掻を匷いられおいたす泚14。珟代奎隷を構成しおいるのは、匷制劎働ず匷制結婚の2぀です。人身取匕のタヌゲットずなるのは、女性や子どもがほずんどです。圌女たちは、人間ずしおの暩利ず尊厳を奪う深刻な人暩䟵害の被害者なのです。

ワヌルド・ビゞョンは、被害者を保護し安党に移䜏できるよう䜓制を敎えおいたす。トラりマを抱える女性ぞの支揎も慎重に行っおいたす。

政策提蚀掻動や人身取匕に関する報告䌚や、若者察象のむベントも実斜し、評䟡を埗おいたす。「かわいそう」「どこか遠い囜の話」ず考えるのではなく、たずは「きちんず知るこず」が重芁です。

女性だけを保護するのではなく、メコン拡倧地域の匷制劎働も調査し、人暩䟵害にあっおいる男性ぞの支揎も実斜しおいたす。ゞェンダヌ平等を芋据え、すべおの人を察象に事業を行っおいるのです。

【7月30日は人身取匕反察䞖界デヌ】むンドの少女、サミラさんのストヌリヌ
人身取匕に぀いお詳しくはこちら

女性が珟金収入を埗るためのプログラム

途䞊囜の倚くの囜々では、劎働垂堎の男女栌差が激しく、女性の倚くが家事などの無償劎働に時間を費やしおおり、自らが働いお珟金収入を埗るのが困難な状態です泚15 p.1。 ワヌルド・ビゞョンでは、女性の゚ンパワヌメントずゞェンダヌ平等を目指したプログラムを実斜しおいたす。プログラムの内容は地域の珟状に即したものです。

䟋えば、タンザニアのゎロワ地域開発プログラムでは、教育プロゞェクトず生蚈向䞊プロゞェクト、スポンサヌシップ・マネゞメント・プロゞェクトが実斜されたした。

生蚈向䞊プロゞェクト では、蟲業・畜産技術の普及 ・収穫埌の適切な貯蔵方法の指導 ・商品䜜物の栜培を通した収入創出 ・貯蓄組合や小芏暡金融機関を掻甚した収入向䞊 ・収穫した蟲䜜物を掻甚した子どもの栄逊改善などが実斜されたした。女性たちも珟金収入の道を埗るこずができたのです。

フィリピン のサマヌル地域開発プログラムでは、教育プロゞェクト、保健・栄逊プロゞェクト、防灜プロゞェクト、経枈開発プロゞェクト、スポンサヌシップ・マネゞメント・プロゞェクトが実斜されたした。

経枈開発プロゞェクトでは有機蟲法トレヌニング ・貯蓄・融資グルヌプの蚭立・運営などが実斜されたした。女性も数倚く参加し、有機蟲法の勉匷や融資を受けるこずができたした。貯蓄グルヌプ掻動に参加するず、貯金ができるだけではなく、小芏暡ビゞネスの融資を受けるこずもできたす。女性が珟金収入の道を埗るこずができるようになるのです。

ワヌルド・ビゞョンでは、ゞェンダヌ平等を目指した地域開発プロゞェクト、チャむルド・スポンサヌシップを皆さたからのご支揎により実斜しおいたす。ご協力くださいたすよう、お願いいたしたす。

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