国際協力のためにできること|ボランティアや寄付の方法と事例を紹介

国際協力に興味を持った時、まず何から始めればいいのかで迷う人は多いのではないでしょうか。国際協力の世界では、国連機関や政府系組織をはじめとする様々な団体が活動しているため、敷居が高いイメージを持っている人もいるかもしれませんが、志ある個人にできることは思っているよりもたくさんあります。

この記事では、国際協力のためにできることを、個人としての行動と国際協力団体への寄付の2種類に分けて解説します。国際協力に貢献するためには寄付以外にも色々な方法があること、そして寄付プログラムにも様々なものがあることを知ったうえで、ぜひ自分に合った国際協力の形を見つけてください。

国際協力のために自分の行動を通してできること

バングラデシュで暮らす子どもたち

はじめに、個人としての行動を通して国際協力のためにできることをご紹介します。ボランティアやインターンといった直接的な行動以外にも、より始めやすい形の国際協力のあり方についても詳しく知り、自分らしい国際協力の第一歩を踏み出しましょう。

国際協力団体でボランティアやインターンをする

国際協力に関心を持った時に最初に思いつくのが、国際協力団体でのボランティアではないでしょうか。

学生であれば、夏休みなどに海外でのボランティアプログラムに参加することもできますし、大学生なら学期単位で休学して長期のボランティアに参加するという選択肢もあります。もっと身近な方法としては、インターンとして国際協力団体の国内事務所で仕事を手伝うという道もあります。

時期によりますが、ワールド・ビジョン・ジャパンでも、インターンの受け入れを行っています。2021年3月まで1年間ワールド・ビジョンでWEBマーケティング・インターンとして活躍した大学生の場合、ツイッターやフェイスブックの投稿、あるいはオンライン記事の作成といった業務を行いました。インターン期間の終了後、ワールド・ビジョンの活動に携わる中で「世界に理不尽はあふれているけれど、『私たちは世界を変えられる』という確信」を得ることができたとブログで語っています。

社会人であれば、プロボノとして自分のスキルを活かしながら国際協力団体の業務に貢献することもできます。「プロボノ」とは、ラテン語で「公共善のために」という意味を持つ「Pro Bono Publico」から生まれた言葉で、公共のため、あるいは社会のために、自分の職業上の技量や専門知識を活かして行うボランティア活動のことです。もし海外でのボランティアに関心が強ければ、1週間程度の短期のプログラムもあるので、大型連休あるいは有給休暇を利用して参加してみるのも良い経験になるでしょう。

国際協力ボランティアについての詳しい説明や探し方は、こちらの記事で紹介しています。



フェアトレード商品の購入やエシカル消費を心がける

最近よく耳にするようになった「エシカル消費」とは、フェアトレード商品の購入を含む、人や社会、環境などに配慮した消費行動のことを指します。「エシカル消費」は、持続可能な開発目標(SDGs)の12番目の目標「つかう責任 つくる責任」で掲げられている「持続可能な生産・消費形態の確保」に貢献するものとして、内閣府傘下の消費者庁によって推奨されています(注1)。

エシカル消費の代表と言えるフェアトレードは、開発途上国で作られる商品や材料を適正価格で買うことを意味し、開発途上国の労働環境を良くするための取り組みにあたります。フェアトレード商品を取り扱っている国際協力団体や企業は多く、実に様々な商品が販売されています。

たとえば、国際的なフェアトレード認証推進組織「国際フェアトレードラベル機構」の日本支部である「フェアトレード・ラベル・ジャパン」によると、日本で流通している国際フェアトレード認証商品には、コーヒーやワイン、チョコレートといった飲食物の他、洋服や石けんなども含まれています(注2)。

普段からフェアトレード商品の購入をするなどエシカル消費を心がけることは、開発途上国で働く人々の生活の向上に関わるものであり、国際協力の大きな一歩と言えそうです。



SNS等を通じて周りの人に国際協力の情報を広める

この記事を読んでいるあなたが今すぐにでも始められる国際協力は、自分の周りの人々に情報を広めること。国際協力に貢献するためには、国際協力に関心を持つ人の輪を大きくしていくことが重要です。まずは、あなたが国際協力に興味を持ったきっかけをSNSで発信してみてはいかがでしょうか。

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、最近は国際協力活動の報告会などのイベントをオンラインで実施する団体も増えています。以前よりも気軽に参加できるようになったこのようなイベントに参加して、印象に残ったことをSNSで発信するのもよいでしょう。

また、この後紹介するようなプログラムを通して寄付を行う場合には、その時に寄付ページにあるFacebookやTwitterのシェアボタンからSNS投稿を行うことで、身の回りの人々に寄付を呼び掛けることもできます。

国際協力活動を行う団体に対してできる様々な寄付

物品の寄付を受け取ったブラジルの家族

自分が行動を起こしたり行動を変えたりする以外にも、国際協力に取り組んでいる団体を支援することで、国際協力を推し進めるための重要な役割を果たすことができます。

ここでは、ボランティア参加などの行動面での貢献からは離れ、様々な種類の寄付について見ていきましょう。次に挙げるように、現金以外にも色々なものを寄付できることがわかれば、寄付がより身近に感じられるようになるのではないでしょうか。



国際協力団体に物品を寄付する

国際協力団体の中には、物品の寄付を受け付けているところもあります。

例えば国際協力機構(JICA)は、海外に派遣するボランティアである海外協力隊や海外事務所を通じて、スポーツや文化、教育、福祉などに関する物品を世界各地へ届ける「世界の笑顔のために」というプログラムを実施しています(注3)。寄付の受け付けは毎年4~5月と10~11月の2度行われ、毎回決まった数の特定の物品が募集されます。

2021年の秋の募集では、リコーダー、鍵盤ハーモニカ、書道用具など、子どもの頃に誰もが学校で使ったようなもののほか、野球のバットやグローブ、サッカーやバスケットボールなど各種球技用のボールやユニフォーム、それに着物やけん玉、積み木、杖やバランスボールなどの寄付が呼び掛けられました(注4)。

そのほかにも、多くの国際協力団体は、未使用の切手や書き損じはがき、商品券や図書券、未使用のプリペイドカードなど、換金できる物品の寄付を受け付けています。ただし、受け入れている物品は団体によって異なります。受け入れ対象になっていない物品を寄付しても、団体側はそれを役立てることができませんので、各団体の規定をよく理解し、対象物品だけを寄付することが重要です。



国際協力活動への寄付つき商品を購入する

国際協力団体への直接の寄付以外にも、寄付付き商品の購入で国際協力に貢献するという手段もあります。

身近なお店で買える寄付付き商品には色々なものがあります。一例として、オイシックス・ラ・大地株式会社が展開する食品ブランド「らでぃっしゅぼーや」の「森を守るバナナ」は、1点につき10円がパートナー団体に寄付され、アフリカやアジアの子どもたちに学校給食を提供するために使われます。バナナという誰にでも身近な商品をどこで購入するかを変えるだけで、国際協力に貢献することができます。

商品とは少し違いますが、ふるさと納税でお礼の品として地元の産品を受け取りながら、国際協力団体に寄付をすることも可能です。非営利団体(NPO)による自発的な地域づくりを後押ししている佐賀県では、応援したいNPOを指定してふるさと納税を行うことができますが、この指定NPOには複数の国際協力団体が含まれています。

ふるさと納税は、節税効果がある上に対象自治体の名産品をお礼の品として受け取れるということで近年人気の制度です。この枠組みを通して国際協力に貢献できるとすれば、ずいぶんと寄付がしやすく感じられるのではないでしょうか。



国際協力団体に現金やポイントを寄付する

寄付の主流はやはり現金ですが、現金に代わるものとしてポイントを寄付できるプログラムもあります。例えばクレジットカードのポイントや航空会社のマイレージを寄付するプログラムでは、寄付先に国際協力団体が含まれている場合もあります。

そのほか、Yahoo! JAPANの「Yahoo!ネット募金」では、クレジットカードでの現金寄付の他に、Tポイントを1ポイントから寄付することが可能です。国際協力プログラムの寄付メニューも大変豊富ですので、自分が関心のある地域や活動を選んで寄付を行うことができます。

ワールド・ビジョン・ジャパンは、「児童保護募金」や「難民支援募金」といった活動内容別の寄付メニューを用意しているほか、アフガニスタンやミャンマーなど、差し迫った状態の子どもたちに適切な支援を届けるための緊急援助募金を随時受け付けています。たとえば、アフガニスタンでは、人道危機を受けて、恐怖や紛争を逃れて暮らす子どもたちを支援するための活動を行いました。このプログラムでは、これまで活動してきた4つの州を中心に、故郷を離れ避難した人や、故郷に留まるか帰還した人々も対象に、命を守るための支援を届けています。皆さまから平時にご支援をお寄せいただいていたからこそ、アフガニスタンで活動が再開できるようになってすぐに支援を届けることができました。

チャイルド・スポンサーシップを通じた国際協力

フィリピンで暮らすチャイルド、ライカさん

ここまでご紹介したように、寄付の対象となる国際協力活動には、人道危機の発生を受けた緊急支援と、貧困地域などでの長期支援の両方が存在します。緊急性が高くニュース等の報道とも関連するため、緊急支援の方が注目されやすい部分もありますが、SDGsの達成など長期的な効果も視野に入れると、国際協力においては長期の支援を拡充することが重要と言えます。

長期支援を目的とする寄付プログラムの例として、ここではワールド・ビジョンのチャイルド・スポンサーシップについて詳しくご紹介します。


チャイルド・スポンサーシップとは

チャイルド・スポンサーシップは、地域に根差した開発援助を行うことで、子どもたちの健やかな成長を目指すプログラムです。チャイルド・スポンサーになっていただいた方には、支援地域に住む子ども"チャイルド"をご紹介します。チャイルドとの1対1の関係を育みながら国際協力に貢献できる点が、このプログラムの特色です。

ご支援金はチャイルドやその家族に直接手渡されるものではなく、チャイルドを含む地域の子どもたちの人生に変化をもたらすことを目指した、様々な長期の支援活動に使われます。チャイルド・スポンサーシップでは、チャイルドの住む地域の人々が、他からの支援がなくとも自分たちで子どもたちを健康に育て、学校に通わせ、地域の問題を解決できるようになることを目指して、教育、保健衛生、水資源開発、収入向上など、様々な支援活動を長期にわたって展開しています。

夫婦やグループ、法人での支援も可能ですが、あるチャイルドのスポンサーになるのは1人または1組だけですので、チャイルド・スポンサーになると、あなただけのチャイルドの成長を見守りながら、支援を通してその子の人生に変化をもたらすことができます。



チャイルド・スポンサーとチャイルドの絆

ケニアのナンシーさんと、かつて彼女のチャイルド・スポンサーであったオーストラリアのジョージーさんの物語は、チャイルド・スポンサーとチャイルドの間に結ばれる強い絆を象徴しています。

安全な水を入手することもできないケニアの地方部に生まれたナンシーさんは、女の子への教育に無関心な養父から虐待を受け、毎日羊や牛の世話と水汲みに追われていましたが、10歳の時にワールド・ビジョンと出会ってチャイルドとなり、学校に通えるようになりました。しかし、男の子ばかりの学校でいつも一番の成績だったために、地域の人たちから心無い言葉を浴びせられるなど、学校でも辛い経験をしました。

苦悩を紛らわせるために勉強と読書に没頭するしかなかったというナンシーさんですが、ジョージーさんから届いた手紙で生まれて初めて愛を感じたといいます。ジョージーさんとの交流を通して、自分も誰かを助けたいと思うようになったナンシーさんは、その後も勉強を続け、ケニアで一番の大学であるナイロビ大学で修士号を取得。現在は人道支援の仕事に就いて世界で活躍しています。

2001年にスポンサーシップが終わった後も、二人の絆は続きました。立派に成長したナンシーさんは「私が一生懸命頑張って、夢をかなえれば、きっとジョージーさんが喜んでくださると思っています」と語り、動画を通してこれを見たジョージーさんは涙を抑えることができませんでした。そして2019年、ワールド・ビジョンがフィリピンで開催した会議で、二人は念願の対面を果たせました。二人は長いハグを交わし、涙ながらに相手への感謝を伝えました。

チャイルド・スポンサーシップを通した1つの地域への支援は、通常15年ほどで終了しますが、支援が終わった後も、このようにチャイルド・スポンサーの言葉はチャイルドの心に残り、その人生を支え続けるのです。


チャイルド・スポンサーになって国際協力に貢献する

チャイルド・スポンサーシップは、月々4,500円、1日あたり150円の継続支援です。

チャイルド・スポンサーになっていただければ、かつてのナンシーさんのように、学校に通えず児童労働を余儀なくされている子どもや、安全な水を飲むことができない子どもたちの未来を、あなたの手で変えられます。

支援地域がどのように発展し、チャイルドがそこでどのように成長しているかという支援の成果を、毎年お送りする「プログラム近況報告」とチャイルドの「成長報告」を通じて実感していただけます。さらに、チャイルドからは1年に1度、グリーティングカードが届くほか、チャイルドにお手紙を書いていただいたり、定形郵便で送れる範囲でプレゼントを同封いただいたりすることもできます。

この記事で紹介したように国際協力には様々な形がありますが、チャイルド・スポンサーシップには、遠い国に住む子どもの人生をはっきりと変えられる可能性があります。成長したナンシーさんの動画を見たジョージーさんは、涙ながらにこう語っていました。

「誰かを少しでも助けられたら。そう思っていただけなのに、こんなにも彼女の人生を変えることができるなんて。私が予想していた以上です。」

あなたもチャイルド・スポンサーとして、子どもたちの未来を育む国際協力に参加しませんか。さらに詳しい情報は、こちらのページからご確認いただけます。

ワールド・ビジョンの活動にご関心を持っていただけた方は、ぜひメールマガジンに登録ください。月に1回、お届けします。

参考資料

今あなたにできること、一日あたり150円で子どもたちに希望を。

関連ページ

世界の子どもたちについて、もっと知りたい皆さまには資料をお送りします。
ご登録のメールアドレスにメールマガジンをお届けすることもできます。